コラム
2026/02/01

澤木一貴です。
前回は「安全性と資格」という、プロとして絶対に避けては通れない、少し耳の痛い話をさせていただきました。 しかし、あの「安全の担保」があってこそ、今日お話しする「ビジネスフィールドの無限の拡大」が可能になります。
今回のテーマは、「場所」です。
多くのトレーナーは、自分の職場を「ジム」という箱の中に限定してしまっています。 「パワーラックがないとトレーニングできない」 「ダンベルが40kgまで揃っていないと指導できない」
もしあなたがそう思い込んでいるなら、それは自らビジネスチャンスをドブに捨てているのと同じです。 重い鉄の塊なんて、実は必要ないのです。
BFR(血流制限)トレーニングという武器さえあれば、あなたのバックパック一つが「ジム」になります。 そして、その機動力を持って向かうべき、今もっとも熱いブルーオーシャン。 それが「介護施設への出張指導」です。
今回は、オンラインレッスンといったバーチャルな話ではありません。 実際に足を運び、高齢化社会の最前線で感謝され、かつ安定した収益を上げる。 そんな「出張型BFRトレーナー」という新しい働き方について提案します。
タイトル:重いウェイトは必要ない。あなたのリュックがジムになる「介護施設出張」という巨大市場
突然ですが、あなたは毎月、家賃やジムの利用料にいくら払っていますか? パーソナルジムを開業するには、テナントを借り、内装工事をし、高額なマシンを導入する必要があります。数百万円の初期投資と、毎月の固定費。 そして、その「箱」にお客さんが来てくれるのを待つ。
これが従来のスタイルでした。 しかし、競争が激化し、広告費が高騰している今、この「待ちの姿勢」はリスクが高すぎます。
では、発想を逆転させましょう。*「あなた自身がジムになって、お客さんのところへ行けばいい」のです。
「でも、出張指導って、自重トレーニングかストレッチくらいしかできないでしょ? それじゃ単価が取れないよ」 そう思ったあなた。そこで思考停止していませんか?
ここでBFRの出番です。 これまでのコラムで何度も触れてきた通り、BFRは「軽量の負荷(自重や500mlのペットボトル)」で、「高重量トレーニングと同等の筋肥大・筋力増強効果」を生み出します。
つまり、BFRベルトと、あなたの知識さえあれば、場所を選ばずに「ガチの筋トレ」が提供できるということ。 高価なマシンも、重いダンベルも要りません。ベルトはリュックに入ります。 あなたは身一つで移動し、訪問先を「本格的なトレーニングジム」に一瞬で変えることができるのです。
では、その「身軽になったあなた」が向かうべき場所はどこか。 個人の自宅への出張ももちろんアリですが、ビジネスとしてよりスケール(拡大)させたいなら、狙い目は間違いなく「介護施設(老人ホーム、デイサービス)」です。
なぜか? そこには「切実なニーズ」と「圧倒的な供給不足」があるからです。
介護施設の現場を見てみてください。 多くの施設で「機能訓練(リハビリ)」が行われていますが、その実態は…… ラジオ体操、風船バレー、塗り絵、簡単なストレッチ。 これらが悪いとは言いません。しかし、これだけで「サルコペニア(加齢による筋肉減少)」を食い止めることができるでしょうか? 「寝たきり」を防ぐことができるでしょうか?
答えはNOです。 筋肉を維持・向上させるには、ある程度の「負荷(ストレス)」が必要です。 しかし、施設にはパワーラックもなければ、安全に高重量を扱わせる技術を持ったスタッフもいません。 施設の職員さんは介護のプロであって、トレーニングのプロではないからです。
ここに、「BFRトレーナー」という最強の助っ人が入り込む隙間があります。
施設側は困っています。 「利用者様の足腰が弱って、転倒事故が怖い」 「介助の負担を減らすために、利用者様自身でもっと動けるようになってほしい」 「他の施設と差別化できる、目玉のプログラムが欲しい」
あなたが提案するのは、これら全ての悩みを解決するソリューションです。 「BFRベルトを使えば、座ったまま、安全に、筋力アップのトレーニングができます。私が週に1回、利用者様の筋肉を『若返らせ』に参ります」
この提案は、施設長にとって非常に魅力的に映ります。
では、実際の現場でどうやるのか。 「広いスペースがない」と言われることも多いでしょう。 大丈夫です。BFRなら、椅子が置けるスペース(畳数枚分)があれば十分です。
私が推奨する、施設向けのアプローチ例を挙げましょう。
1. 「魔法のベルト」という演出 高齢者の方に「血流制限トレーニングです」と難しく説明しても伝わりません。 「この特別なベルトを巻くとね、軽い運動でも、若かった頃みたいに筋肉が目覚めるんですよ。魔法のベルトなんです」 と説明します。澤木流の掴みです(笑)。 実際に巻いて、軽い足踏みや、椅子の立ち座り(スクワット)をしてもらう。 数分で足が温かくなり、筋肉が張ってくる感覚に、皆さん驚かれます。
2. 椅子を活用した「転ばない」筋トレ 施設指導で絶対に避けなければならないのは「転倒」です。 BFRは座ったままでも十分な効果が出せます。 ・椅子に座ってのニーエクステンション(膝伸ばし) ・椅子に座ってのカーフレイズ(踵上げ) ・チューブを使ったローイング(背中) これなら転倒リスクはほぼゼロ。しかし、ベルトの効果で成長ホルモンが出て、筋力は確実にアップします。
3. 「みんなでやる」グループレッスン化 BFRベルトを複数用意すれば、少人数のグループレッスンも可能です。 「今日はみんなで腕を鍛えましょう!」と一体感を作る。 キツイ運動も、仲間といれば楽しいイベントになります。 施設側から見れば、一度に数人の相手をしてくれるので、職員の手が空くというメリットもあり、非常に感謝されます。
個人宅への出張は、どうしても「単発」になりがちで、移動コストもかさみます。 しかし、介護施設との契約は「B2B(対企業)」になるため、ビジネスが安定します。
例えば、 「週1回訪問、1時間で利用者5〜6名を指導、月額〇〇万円」 という業務委託契約を結びます。
施設側としては、 「当施設には専門のトレーナーが来て、最新の科学的トレーニング(BFR)を受けられます!」 とPRできれば、新規入居者の獲得につながります。そのための広告費と考えれば、あなたの契約料は決して高くありません。
また、あなたにとってもメリットは絶大です。 ・毎回集客する必要がない(施設に行けば利用者がいる) ・毎月の固定収入が見込める ・昼間のアイドルタイム(ジムにお客さんが来ない時間帯)を有効活用できる
夕方はジムでパーソナル、昼間は介護施設で出張指導。 このハイブリッドな働き方は、トレーナーの収益構造を劇的に改善します。
ただし、注意点があります。 介護施設は、何よりも「安全性」と「信頼」を重視します。 どこの馬の骨とも知れない、ただのマッチョな兄ちゃんが「筋トレ教えます」と来ても、門前払いです。 事故が起きた時の責任問題があるからです。
ここで、「BFRトレーナープロ」の資格が、パスポート代わりになります。
「私はBFR Trainers Association認定のプロトレーナーです」 「このメソッドは、医療現場でのリハビリテーションをルーツに持っています」 「成長ホルモンの分泌により、高齢者の骨粗鬆症予防や認知機能への好影響も研究されています」
このように、「医学的エビデンス」と「有資格者であること」を提示できて初めて、施設長やケアマネジャーと対等に話ができます。 彼らは「筋肉」の話には興味がありませんが、「ADL(日常生活動作)の向上」や「QOL(生活の質)」の話には身を乗り出します。
私の講座では、こうした「医療・介護従事者に刺さる言葉選び」や「プレゼンテーションの方法」もお伝えしています。 単にトレーニングを教えるだけでなく、「健康経営のパートナー」として契約を勝ち取るためのノウハウです。
最後に、マインドセットの話をさせてください。 介護施設での出張指導において、あなたの仕事は単に利用者の筋肉を太くすることではありません。
あなたの真の仕事は、「諦めていたことができるようになる喜び」を提供することです。
「先生のおかげで、杖なしでトイレに行けるようになったよ」 「孫を抱っこできるようになった」 「みんなと運動するのが、一週間で一番の楽しみなんだ」
そんな言葉をかけられた時、トレーナーとしてこれ以上のやりがいはありません。 そして、そうした「奇跡」のような変化を、低負荷で、安全に、短期間で起こせるツール。 それがBFRなのです。
ジムの中で、鏡に向かってポーズをとるだけのトレーナー人生で終わりますか? それとも、リュック一つで街へ飛び出し、本当に助けを必要としている人たちの人生を変えるトレーナーになりますか?
BFRという武器があれば、あなたの活躍の場は、ジムの壁を越えて無限に広がります。 「出張型BFRトレーナー」。これからの時代、最も求められる働き方の一つになることは間違いありません。
さて、現場での可能性が見えてきたところで、次回はさらに実践的な話です。 「継続率向上」。 どんなに良いトレーニングでも、飽きられたら終わりです。 「キツイけど楽しい!」「またやりたい!」とクライアントを病みつきにさせる、澤木流・メニュー作成の秘密(バリエーションの作り方)を公開します。 単調になりがちなBFRに、どう遊び心を入れるか。お楽しみに。
BFRトレーニング

BFRトレーニングが「感動の連鎖」を生む
澤木一貴です。これまでのコラムでは、BFRトレーニングの「科学的根拠」や「ビジネスモデル」、そして「医療との連携」といった、少し硬派でロジカルな側面を中心にお話ししてきました。 今回は、トレーナーとい...
澤木 一貴

BFRで高単価・時短セッション
澤木一貴です。これまで、市場分析から基礎理論、そしてターゲット層の拡大(女性・高齢者)についてお話ししてきました。 今回は、いよいよ皆さんが最も気になっているであろう「ビジネスの本丸」、つまり「収益構...
澤木 一貴

BFR「ある絶対条件:安全性」
澤木一貴です。前回は、経営者層をターゲットにした「時短・高単価」という、かなり攻めたビジネスモデルについてお話ししました。 「30分で売り上げを倍にする」 ワクワクしましたか? それとも「そんなにうま...
澤木 一貴

BFRは「場所を選ばず」
澤木一貴です。前回は「安全性と資格」という、プロとして絶対に避けては通れない、少し耳の痛い話をさせていただきました。 しかし、あの「安全の担保」があってこそ、今日お話しする「ビジネスフィールドの無限の...
澤木 一貴

糖尿病 ── 筋肉を「糖を取り込む工場」に変えるBFRの科学
澤木一貴です。これまでのコラムでは、BFRトレーニングが「筋肥大」や「アンチエイジング(美容)」、そして「アスリートのリハビリ」にいかに効果的かをお伝えしてきました。 今回は、少し視座を高くし、これか...
澤木 一貴

「ミトコンドリア」を増殖させるBFR
澤木一貴です。これまでのコラムでは、BFRトレーニングが「筋肥大」や「糖尿病対策」、そして「リハビリ」にどう役立つかを熱く語ってきました。 今回は、少し視点をミクロな世界に移しましょう。 テーマは、私...
澤木 一貴
通常のトレーニングには1RM(1回持ち上げることが限界の重さ)の60%以上の重さを必要としていますが、BFRトレーニングでは1RMの20%程度の重さで効果を得るとができます。
BFRトレーナーズ協会は、安全で的確なトレーニングの指導を行い、正しい知識と技術を持ったトレーナーを育成し、より多くの人たちにその効果を実感してもらえるようBFRトレーニングの普及を目指します。
© BFR Trainers Institute 2025