高齢になるに従い、トレーニング効果は低下していきます。もちろん私たちが生きているということは細胞が入れ替わっているということでもあり、普通に生活さえできているのなら、トレーニングによって筋肉の発達は起こるはずです。ある報告によれば、90歳代の被験者にトレーニングさせたところ、筋力が174%増加し、筋肉量は9%増加したという結果も出ています。(※1)ではBFRトレーニングはどうでしょうか。50歳以上を被験者として選んだ研究をまとめたシステマティックレビューがあります。(※2)このレビューでは1574本の論文から16週間以上に渡って行われた30本の論文を選び、分析したところ、BFRトレーニングは筋肥大や筋力向上、筋機能改善に効果があったと示されています。ただしバイアスに注意、とのこと。また2658本の論文から被験者が多い論文を11本抜き出して検討したメタアナリシスもあります。(※3)この分析では低負荷でのBFRトレーニングやBFRウォーキングは高齢者に適した筋肥大・筋力向上のための運動だということが示されています。このように、数多くの論文でBFRトレーニングは高齢者に効果的であることが証明されており、またこれだけの数の研究が行われているということは、安全であることの証左でもあります。危険な事象があれば研究は途中で中止されますので。なおBFRトレーニングは20%1RM程度の使用重量でも十分に効果を出すことができますが、最近の報告では15%1RMでのトレーニングでも、70%1RMでトレーニングした場合よりも筋疲労効果やパンプアップ効果は強かったという結果が出ています。(※4)高齢者やリハビリ目的でしたら、15%1RM程度の日常生活とほとんど変わらないような負荷でも、効果が得られるかもしれません。今後のさらなる検証が待たれます。※1:High-intensity strength training in nonagenarians. Effects on skeletal muscle.JAMA. 1990 Jun 13;263(22):3029-34.※2:Does Blood Flow Restriction Therapy in Patients Older Than Age 50 Result in Muscle Hypertrophy, Increased Strength, or Greater Physical Function? A Systematic Review.Clin Orthop Relat Res. 2020 Mar;478(3):593-606. doi: 10.1097/CORR.0000000000001090.※3:Effects of Blood Flow Restriction Training on Muscular Strength and Hypertrophy in Older Individuals: A Systematic Review and Meta-Analysis.Sports Med. 2019 Jan;49(1):95-108. doi: 10.1007/s40279-018-0994-1.※4:Acute skeletal muscle responses to very low-load resistance exercise with and without the application of blood flow restriction in the upper body.Clin Physiol Funct Imaging. 2019 May;39(3):201-208. doi: 10.1111/cpf.12557. Epub 2018 Dec 2.