コラム
2023/07/07

クラシックバレエは、両足を外側に向けて立ちます。これをターン・アウトと言われるバレエの立ち方です。この両足を左右それぞれ外に向ける姿勢が、バレエ特有の障害の要因と言われています。
欧米では、このターン・アウトが自然に、無理なくできる子どもだけがバレエ学校に入学できます。なぜならば、両足を股関節から外に無理なく向けられないと、バレエのテクニックと骨格の構造上、障害を発生させてしまうからです。
日本では骨格的にバレエを学ぶことが難しい子供もバレエを学ぶことができるため障害が多く発生する傾向があります。
特に、骨格がバレエに適さない子供は脚を大腰筋、内転筋、中臀筋、薄筋などの筋肉を使って足を外へ向けるテクニックを完璧に習得する必要があります。このターン・アウトの正しい仕方を習得することなく、難しいバレエのテクニックに挑戦してしまうことで股関節、膝関節、足関節に障害が発生してしまうのです。
日本と外国とではバレエ障害に少し違いがあることが最新のバレエの治療法の比較でわかりました。アメリカでは、バレエ障害の8割はリハビリで治療し、2割が手術となります。日本では8割が手術で、2割がリハビリで治療します。この治療法に違いはなぜ出てくるのでしょうか。
アメリカでは、身体に痛みを感じたとき、すぐにバレエ教師に相談し、医師の診察を受けます。すなわち、「痛み」は、身体の具合が悪いことを知らせる警報であると考えられています。それ故に、「痛み」があれば、すぐに、医師の診察を受けるお陰で、症状が軽いうちに治療が行われるのです。
日本では、「苦行」を一つの美徳とする考え方があります。ですから、少しぐらい痛くても、我慢して稽古を続けることが精神修養上良いと考える傾向があります。
アンケート調査でも日本のバレエ教師は「痛み」の警報を軽く見る傾向があります。身体は、それ以上レッスンをすると症状を悪化させることを警報で報せているのです。しかし、それを我慢し、無視してしまうのです。その結果、症状がかなり進行した状態になってから医師の診察を受けるのです。そのため、診察を受けたときには、すでに手遅れとなり、手術を受けないとならないところまで悪化させてしまっているケースが日本のバレエ界では多いのです。
バレエでは、「痛み」という警報が鳴ったとき、すぐに、医師の診察と治療を受ければリハビリで症状の進行を抑え、改善ができるのです。
バレエ障害の治療にピラティスという運動療法が高い効果を挙げています。ピラティスは身体のバランスの維持に大切な役割を果たす深層筋を左右バランスよく鍛え、さらに、筋肉の柔軟性を高めます。アメリカでは1980年代にリハビリにピラティスを取り入れ、改良されたリハビリ用ピラティスが大学医院でのバレエ・ダンス障害の治療に活用されています。
さらに、ダンサーの治療には自然立姿勢、歩行姿勢、脊椎の歪み、呼吸法、筋肉の弛緩の仕方などをさまざまな運動療法を応用し、改善する必要があります。さらに、正しいターン・アウトの仕方を、指導を受けて、修正しないとなりません。
これらのリハビリの効果が確認されるのに3ヶ月から6ヶ月が一つの目処とされます。
「BFRトレーニング」を応用した「BFRリハビリ」により、通常の運動療法より多くの成長ホルモンの分泌を促進することによって筋繊維の肥大、痛めた靭帯・腱などの治癒の効果を高めることに成功しました。
たとえば、靭帯の部分断裂は3ヶ月から6ヶ月の治療期間が必要ですが、BFRトレーニングではでは1ヶ月あまりでダンサーの舞台復帰を可能にしたのです。
「里見悦郎のバレエ障害講座:BFRトレーニングを用いたバレエ障害治療」より
リハビリ

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BFRトレーナーズ協会は、安全で的確なトレーニングの指導を行い、正しい知識と技術を持ったトレーナーを育成し、より多くの人たちにその効果を実感してもらえるようBFRトレーニングの普及を目指します。
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