コラム
2023/07/07

BFR協会の推奨するトレーニングにおいて、カフを締める圧力はかなり弱めである。そのほうがもちろん血流制限に伴う副作用が少なくなるのだが、効果としてはどうなのだろうか。
動脈圧の40%と60%、80%で比較した研究がある。平均動脈圧は136.6±9.3mmHgだったので、55mmHgと82mmHg、109mmHgとで比較したと考えて良い。この圧力で20%1RMの重量を用い、レッグエクステンションを30回→15回→15回→15回の4セットをインターバル30秒で行わせた。(※1)
その結果、動脈圧の60%と80%とではヘモグロビンとミオグロビンの脱酸素化(ヘモグロビンやミオグロビンが酸素を手放すこと)において、大きな違いがなかったのである。
つまり82mmHgと109mmHgとで、血流制限における効果には大差がないものと思われる。
ただし55mmHgと82mmHgとでは明らかな違いがあったようだ。しかし脱酸素化ではなく代謝ストレスを与えるという点においては、55mmHgでも効果が認められている。
次に、2020年にまとめられたこれまでのBFRトレーニングにおけるプロトコルをざっと紹介しよう。左から順に「研究者と論文発表年」、「カフの幅」、「圧力」、「使用重量」、「レップスやセット」となる。(※2)
多くの研究において、動脈圧(AOP)の80%以下であることが見て取れるはずだ。今後は80~100mmHg程度の圧力で行うBFRトレーニングが主流になってくることだろう。
Study | Cuff width (cm) | Pressure | Training load (%1RM) | Volume (set x rep) |
|---|---|---|---|---|
Barnett et al., 2016 | unknown | 40% AOP | 30 | 30,15,15,15 |
Clark et al., 2011 | 6 | 130% resting SBP | 30 | 3 x failure |
Cook et al., 2017 | 6 | 150% resting SBP | 30 | 3 x failure |
Dankel et al., 2017 | 3 | 160 mmHg | unknown | 4 x failure |
Dankel et al., 2017 | 5 | 40% AOP | unknown | 4 x failure |
Drummond et al., 2008 | unknown | 200 mmHg | 20 | 30,15,15,15 |
Ferguson et al., 2018 | 5 | 110 mmHg | 20 | 30,15,15, failure |
Freitas et al., 2017 | 5 | 160 mmHg | 20 | 30,15,15,15 |
Fry et al., 2010 | unknown | 200 mmH | 20 | 30,15,15,15 |
Iversen et al., 2010 | 14 | 100 mmHg | unknown | 30,15,15,15,15 |
Jessee et al., 2018 | 5 | 40% AOP | 30 and 50 | 4 x failure |
Laurentino et al., 2012 | 17.5 | 80% AOP | 20 | 3 x 15 |
Laurentino et al., 2016 | 5 and 10 | 80% AOP | 20 | 3 x 15 |
Lixandrao et al., 2015 | unknown | 40% and 80% | 20 and 40 | 2-3 x 15 |
Loenneke et al., 2015 | 5 | 40%, 50% and 60% | 20 and 30 | 30,15,15,15 |
Madarame et al., 2008 | 4 | 160 mmHg | 30 | 30,15,15 |
Madarame et al., 2008 | 4 | 160 mmHg | 30 | 30,15,15 |
Manini et al., 2012 | 11 | 150% resting SBP | 20 | 4 x failure |
Martin-Hernandez et al., 2013 | 14 | 110 mmHg | 20 | 30,15,15,15 |
Neto et al., 2015 | 6 and 10 | 80% AOP | 20 | 30,15,15,15 |
Nielsen et al., 2017 | 13.5 | 100 mmHg | 20 | 4 x failure |
Sousa et al., 2017 | 18 | 80% AOP | 30 | 4 x failure |
Sousa et al., 2018 | 18 | 50% AOP | 20 | 30,15,15,15 |
Suga et al., 2009 | 18.5 | 130% resting SBP | 20 | 2 x 30 |
Vechin et al., 2015 | 18 | 50% AOP | 20 | 30,15,15,15 |
Wernbom et al., 2013 | 13.5 | 90-100 mmHg | 30 | 5 x failure |
Yow et al., 2018 | 14 | 80% AOP | 30 | 30,15,15,15 |
※1:
Tissue Oxygenation in Response to Different Relative Levels of Blood-Flow Restricted Exercise
Front Physiol. 2019 Apr 11;10:407. doi: 10.3389/fphys.2019.00407. eCollection 2019.
※2:
Determining the optimal blood flow restriction protocol for maximising muscle hypertrophy and strength, pressure and cuff width: A mini-review
Department of Physical Performance, Norwegian School of Sport Sciences, Oslo, Norwa
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