体内を駆け巡る力、それが血圧私たちの体内を、勢いよく駆け巡る血液。その力強さを表す指標が、血圧です。まるで血管の内壁を押し広げるような、力強いイメージが湧きませんか?血圧の単位は「mmHg」。これは、水銀柱を何ミリ押し上げる力があるかを表しています。心臓がギュッと縮み、全身に血液を送り出す瞬間、血圧はピークに達します。これが収縮期血圧、一般的に「上の血圧」と呼ばれています。その後、心臓がリラックスして血液を取り込む際には、血圧は最低になります。これが拡張期血圧、つまり「下の血圧」です。このように、血圧は心臓の鼓動に合わせて上下し、私たちの健康状態を映し出す重要なバロメーターなのです。人間の身体には静脈、動脈、毛細血管などの血管が存在し、全てを繋ぎ合わせて1本にすると地球2周半の長さとなる。 血管内を流れる血液の速度は、心臓から送り出されて戻るまでに25~30秒であり、これは時速200キロ以上で新幹線並のスピードです。血圧:基準値は本当に正しいのか? 高血圧と低血圧の意外な真実私たちの健康にとって重要な指標の一つである「血圧」。しかし、その基準値は本当に適切なのだろうか? 今回は、高血圧と低血圧それぞれの側面から、従来の常識に疑問を投げかけ、血圧と私たちの健康の関係について改めて考えてみる。高血圧:基準値は時代とともに変化しているかつては「年齢+90〜100」と言われていた高血圧の基準値は、時代とともに厳しくなってきた。厚生労働省が1987年に発表した基準では「上180以上」だったが、現在は「上130以上」とされている。その結果、高血圧患者の数は大幅に増加し、潜在的な患者も含めると3000万人から4300万人とも言われている。しかし、本当にこれほど多くの人が治療が必要なのだろうか? 統計を見ると、70代前半男性でさえ180を超える人はわずか1%程度しかいない。一方、基準値を下げたことで、医療機関は患者で溢れかえり、医療崩壊の危機に直面している。加齢とともに血圧が上がるのは自然な現象であり、むしろ年齢に応じた基準を設けるべきだという意見もある。実際、欧米ではすでに年齢別基準を採用している国が多い。低血圧:放置されてきた「もう一つの血圧問題」高血圧ばかりが注目されがちだが、低血圧も決して無視できない問題だ。しかし、日本高血圧学会の基準では、上120未満、下80未満であっても「正常血圧」と判定されてしまう。そのため、低血圧は病気として認識されにくく、治療を受けられる機会も少ない。一方、世界保健機関(WHO)は、上100以下、下60以下を低血圧と定義している。近年、低血圧と認知症の関係性を示唆する研究結果も発表されており、高齢者にとってはむしろ高血圧よりも注意が必要な状態かもしれない。血圧と健康:大切なのは「自分に合った血圧」を見つけること高血圧も低血圧も、一概に「良い悪い」と断言することはできない。大切なのは、自分の年齢や体質、生活習慣に合った血圧を見つけることだ。家庭血圧計を使って定期的に測定し、記録をつけることで、自分の血圧パターンを把握することが重要だ。気になる場合は、医師に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしよう。血管を若返らせる「BFRトレーニング」動脈硬化を防ぎ、血管を蘇らせる私たちの血管は年齢とともに硬くなり、血流が悪くなります。これが動脈硬化の原因となり、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高めます。しかし、近年注目を集めている「BFRトレーニング」は、血管を若返らせる効果が期待できる新しいトレーニング法です。BFRトレーニングとは?BFRは「Blood Flow Restriction」の略で、血流制限トレーニングとも呼ばれます。腕や脚に専用のベルトを巻き、血流を制限した状態で運動を行うトレーニングです。従来のトレーニングとは異なり、軽い負荷でも効果が得られるため、運動に自信がない方でも始めやすいのが特徴です。BFRトレーニングが血管を若返らせる仕組みBFRトレーニングは、血管内皮細胞を刺激し、*一酸化窒素(NO)*の産生を促進します。NOは血管を拡張し、血流を改善する効果があります。また、BFRトレーニングは成長ホルモンの分泌を促進する効果も期待できます。成長ホルモンは、血管や筋肉の再生を促し、抗酸化作用も持ち合わせています。研究結果実際にBFRトレーニングの効果を検証した研究では、以下のような結果が出ています。短期的効果:片腕のみにBFRトレーニングを行ったところ、トレーニングを行っていない方の腕の血管機能も改善した。長期効果:6週間、週3回BFRトレーニングを行ったところ、トレーニングを行った方の足の血管機能が改善した。これらの研究結果から、BFRトレーニングは血管内皮機能を改善し、動脈硬化を防ぐ効果が期待できることが示唆されています。まとめ血圧は単なる数値ではなく、私たちの健康状態を映し出す重要な指標である。しかし、従来の基準値は必ずしも適切とは限らない。高血圧と低血圧それぞれの側面を理解し、自分に合った血圧を見つけることが、健康維持の鍵となるだろう。BFRトレーニングは血管内皮機能を改善し、動脈硬化を防ぐ効果が期待できることが示唆されています。血管を若返らせ、動脈硬化を防ぐ効果が期待できるトレーニング法です。