BFRトレーニング(血流制限トレーニング)は、軽い負荷でも筋肉を大きくする効果があるトレーニング方法として注目されています。このトレーニングを行うと、体内で「一酸化窒素(NO)」や「ヒートショックプロテイン」といった体を守る物質が増えることがわかっています。これらがどう働くのかを、簡単に説明します。一酸化窒素(NO)まず「一酸化窒素(NO)」ですが、これは体内で血管を広げる働きをする物質です。血管が広がると血液の流れが良くなり、筋肉を作るために必要な栄養がスムーズに届くようになります。さらに、NOは筋肉を作るスイッチともいえる「mTOR(エムトアー)」という仕組みを活性化する役割もあり、筋肉を大きくする手助けをしてくれます。ヒートショックプロテイン次に「ヒートショックプロテイン」ですが、これは体の細胞を守るタンパク質の一種です。体に負荷がかかったときに細胞を修復し、筋肉の成長を助ける働きがあります。BFRトレーニングではこのヒートショックプロテインが増えるため、筋肉の回復と成長がスムーズに進むのです。ずり応力(shear stress)また、血管には血液が流れるときに「ずり応力(shear stress)」という力が働きます。これは血液が血管の壁を押すような力のことで、血流が多いほど強くなり、少ないと弱くなります。この力によって血管が広がったり狭くなったりして、血流の調節が行われます。BFRトレーニングは血流をコントロールすることで、血管の内側にある細胞に刺激を与え、血管の働きを良くする可能性があるのです。さらに、「ヒスタミン」や「プロスタサイクリン」という物質も関係しています。これらは血流を調節したり、血管を健康に保つために働く物質です。BFRトレーニングではこれらの物質が増え、血管の機能改善につながると考えられています。アルギニンここで役立つのが「アルギニン」というアミノ酸です。アルギニンは一酸化窒素(NO)の材料となる物質で、血管を広げる働きを助けます。そのため、BFRトレーニングとアルギニンを組み合わせることで、血管の機能がさらに改善され、動脈硬化の予防や改善にも役立つ可能性があります。アルギニンを摂取するタイミングとしては、トレーニングの約75分前が適しています。アルギニンは摂取してから60分ほどで血中濃度が最大になり、90分後にNOの増加がピークになるためです。また、プロテインと一緒に飲んでも問題ありません。摂取量は1回4〜6gが目安です。このように、BFRトレーニングとアルギニンをうまく活用することで、筋力アップだけでなく血管を健康に保つ効果も期待できます。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。