BFRトレーナーの資格取得講座を受講されたトレーナーなら既にご存知のことだと思いますが、BFRトレーニングの効果の一つに「痛みを減らす」というものがあります。2010年5月から2013年5月までの間に行われた研究では、骨関節疾患24名38部位中の23名35部位において優位な改善が認められ、関節リウマチ患者においては15名24部位中の11名20部位において優位な改善が認められています。(※1)また神経疾患である脊髄空洞症の患者を対象にBFRトレーニングを行ったところ、1回目のトレーニングですぐに鎮痛効果が得られ、4回目以降はほとんど痛みを感じなくなるほどの卓効を示しています。(※2)最近行われた研究において、膝の痛みを訴える40名の男性を対象に、「軽い重量でのレジスタンストレーニングのみ」と「軽い重量でのレジスタンストレーニング+BFRトレーニング」とで比較が行われました。血流制限の圧力は動脈圧の80%です。その結果、BFRトレーニングを追加で行った群は「即座かつ顕著な」痛みの減少がみられています。(※3)また下肢に痛みを訴える患者28名を対象にし、「普通のウェイトトレーニング群」と「軽い重量でのBFRトレーニング群」とに分けて3週間の観察を行ったところ、どちらの群も筋力や筋肥大が起こったものの、BFRトレーニング群はMSLTやYバランススコア(ファンクショナルな機能の指標)が改善し、また痛みを示すスコアも顕著に改善していました。(※4)BFRトレーニングが痛みを改善するメカニズムはまだはっきりと分かっていませんが、今後の研究展開が待たれるとともに、少しでも早く現場に応用することによって「今、目の前にある痛みを改善」していくことが求められているのではないでしょうか。※1:血液循環療法が骨関節疾患の疼痛に及ぼす影響-駆血帯を使用した新しい運動療法の試み-※2:神経変性疾患治療への運動療法(BCT)の応用について-脊髄空洞症の治療に関する臨床報告-※3:Low load resistance training with blood flow restriction decreases anterior knee pain more than resistance training alone. A pilot randomised controlled trial.Phys Ther Sport. 2018 Sep 19;34:121-128. doi: 10.1016/j.ptsp.2018.09.007. [Epub ahead of print]※4:Low-Load Resistance Training With Blood Flow Restriction Improves Clinical Outcomes in Musculoskeletal Rehabilitation: A Single-Blind Randomized Controlled Trial.Front Physiol. 2018 Sep 10;9:1269. doi: 10.3389/fphys.2018.01269. eCollection 2018.