コラム
2023/07/07

脊髄の一部が損傷して機能が部分的に残った状態を不完全脊髄損傷と呼ぶ。重症の場合は感覚・知覚機能のみが残るが、多くは運動機能がある程度残されている。
このような患者を対象にBFRトレーニングを行うことで、筋肉量・筋力の向上や機能改善を見込むことが可能となる。しかし、問題は安全に行えるかどうかである。
不完全脊髄損傷の患者9名を対象に10回3セットのレッグエクステンションをBFRアリとナシの場合で比較した研究がある。(※1)
圧力は静脈圧の125%とされているので、かなり軽い圧(おそらく50mmHg以下)だと思われる。
その結果、動脈圧や血圧の増加に差はなく、組織酸素飽和指数は低下しつつも酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンを増加させることがBFRトレーニングによって可能となった。
このことから、BFRトレーニングは心臓血管系に負担を与えずトレーニング効果を得ることができると確認された。
一般に血圧が高い場合、高強度の運動は避けることが推奨されている。平均年齢22歳の健康な若者を対象にした研究では、高重量でのレッグプレスとBFRを組み合わせた場合、収縮期血圧は150mmHgを超える。また軽い重量(20%1RM)でBFRを併用して行った場合も、だいたい同じくらいの血圧になる。
しかし平均123mmHgで圧迫し、時速4kmでトレッドミルを歩行したところ、圧迫ナシの群と同様に運動中の血圧はほとんど変化しなかった。つまりBFRのウォーキングは安全に行えることが示唆される。
血流制限をしてウォーキングした群10名と、血流制限なしでウォーキングした群9名を比較した研究では、血流制限群のほうが2.5~4.5倍もの機能改善効果が認められている。
(※3)
BFRはウェイトトレーニングと結び付けて行われることが大半であるが、軽いウォーキングなどとの併用でも健康面・機能改善面での効果は大いに期待できる。今後の展開が期待される。
※1:
The Feasibility of Blood Flow Restriction Exercise in Incomplete Spinal Cord Injured Patients.
PM R. 2018 May 23. pii: S1934-1482(18)30285-5. doi: 10.1016/j.pmrj.2018.05.013
※2:
Hemodynamic responses are reduced with aerobic compared with resistance blood flow restriction exercise.
Physiol Rep. 2017 Feb;5(3). pii: e13142. doi: 10.14814/phy2.13142.
※3:
Blood flow restriction walking and physical function in older adults: A randomized control trial.
J Sci Med Sport. 2017 Dec;20(12):1041-1046. doi: 10.1016/j.jsams.2017.04.012. Epub 2017 Apr 21.
BFRトレーニング

不眠ループをBFRで
「あぁ、また今日も寝つけない……」時計の針が深夜2時を回る絶望感。枕を買い替え、アロマを焚き、スマホを遠ざけても、頭の中の「反省会」が止まらない。そんな夜を過ごしていませんか?もし、あらゆる安眠グッズ...
齊木 英人

「脳の洗浄タイム」─BFRトレーニング
脳の霧を振り払い、思考の「解像度」を上げる――BFRトレーニングがもたらす、知られざる覚醒の科学先日、私のセッションを受けに来られたある経営者の方が、トレーニングを終えてベルトを外した瞬間に、ポツリと...
齊木 英人

BFRトレーニングが「感動の連鎖」を生む
澤木一貴です。これまでのコラムでは、BFRトレーニングの「科学的根拠」や「ビジネスモデル」、そして「医療との連携」といった、少し硬派でロジカルな側面を中心にお話ししてきました。 今回は、トレーナーとい...
澤木 一貴

BFRで高単価・時短セッション
澤木一貴です。これまで、市場分析から基礎理論、そしてターゲット層の拡大(女性・高齢者)についてお話ししてきました。 今回は、いよいよ皆さんが最も気になっているであろう「ビジネスの本丸」、つまり「収益構...
澤木 一貴

BFR「ある絶対条件:安全性」
澤木一貴です。前回は、経営者層をターゲットにした「時短・高単価」という、かなり攻めたビジネスモデルについてお話ししました。 「30分で売り上げを倍にする」 ワクワクしましたか? それとも「そんなにうま...
澤木 一貴

BFRのアンチエイジング効果とリハビリ
澤木一貴です。ここまで、第1回で「市場分析」、第2回で「基礎理論」、第3回で「ファンクショナルトレーニングとの融合」についてお話ししてきました。 少しずつ、BFRトレーニングが単なる「流行りの筋トレ」...
澤木 一貴
通常のトレーニングには1RM(1回持ち上げることが限界の重さ)の60%以上の重さを必要としていますが、BFRトレーニングでは1RMの20%程度の重さで効果を得るとができます。
BFRトレーナーズ協会は、安全で的確なトレーニングの指導を行い、正しい知識と技術を持ったトレーナーを育成し、より多くの人たちにその効果を実感してもらえるようBFRトレーニングの普及を目指します。
© BFR Trainers Institute 2025