コラム
2023/07/07

瞬発力系の競技アスリートにとって糖質は重要なエネルギー源となります。そのため食事から摂取する糖質に加え、ブドウ糖やマルトデキストリン、クラスターデキストリンなどの吸収が早い糖質を運動中のドリンクとして摂取することが必要となります。
15年ほど前にボディビル界で流行ったサプリメントに、「D-リボース」というものがあります。これも糖質なのですが、種類としては単糖類で、グルコースやフルクトース、ガラクトースと同じです。
しかしちょっとした違いがあり、グルコースやフルクトース、ガラクトースは炭素原子が6個であり、これをヘキソース(六炭糖)と呼びます。たいしてD-リボースは炭素原子が5個であり、これはペントース(五炭糖)となります。
RNAは「リボ核酸」ですが、このリボというのがリボースのことです。つまりリボースはRNAの構成物質です。ちなみにDNAの構成物質となる糖はデオキシリボースとなります。
そしてリボースにアデニンがくっつくと、アデノシンができます。ATPはアデノシン三リン酸、つまりリボースにアデニンとリン酸がくっつけば、ATPができるというわけです。
ブドウ糖や脂肪酸がエネルギーをつくるとき、NADHというものができます。これが電子伝達系に入ってATPを作り出すのですが、NADHにリン酸が一つくっついたNADPHというものがペントースリン酸回路でつくられます。NADPHは脂肪酸やステロイドの合成、リボースからデオキシリボースへの変換、活性酸素の発生などのために必要となります。
リボースはこのペントースリン酸回路によって体内で自然に合成されているのですが、これを外部から摂取することによって心機能の回復が起こることが発見されました。そして心臓手術の前後にリボースを患者に与える治療が2003年にはじまり(※1)、2006年にはリボースを水泳選手に投与したところ、泳ぐ速度の増加や疲労軽減、酸化ストレスの緩和などが報告されています。
また線維筋痛症や慢性疲労症候群の治療にも役立つ可能性があります。(※2, ※3)
多くの疾患ではATPの合成が滞っているのですが、リボースのサプリメンテーションによってミトコンドリアの機能が高まり、それを解決できるかもしれません。(※4, ※5)
筆者が出席した国際オーソモレキュラー学会では、オランダのスピードスケートのコーチの講義があり、選手に使わせているサプリメントのひとつにD-リボースを挙げていました。一日の量として10~15gを飲ませているそうです。
15年前は非常に高価だったリボースですが、今では比較的安価に入手できるようになりました。運動中のドリンクに配合することで、スタミナの増加が期待できるかもしれません。
※1:
D-Ribose improves diastolic function and quality of life in congestive heart failure patients: a prospective feasibility study.
Eur J Heart Fail. 2003 Oct;5(5):615-9.
※2:
The use of D-ribose in chronic fatigue syndrome and fibromyalgia: a pilot study.
J Altern Complement Med. 2006 Nov;12(9):857-62.
※3:
Role of dietary modification in alleviating chronic fatigue syndrome symptoms: a systematic review.
Aust N Z J Public Health. 2017 Aug;41(4):338-344. doi: 10.1111/1753-6405.12670. Epub 2017 Jun 14.
Ribose in the heart.
J Diet Suppl. 2008;5(2):213-7. doi: 10.1080/19390210802332752.
※4:
D-ribose aids heart failure patients with preserved ejection fraction and diastolic dysfunction: a pilot study.
Ther Adv Cardiovasc Dis. 2015 Jun;9(3):56-65. doi: 10.1177/1753944715572752. Epub 2015 Feb 19.
※5:
Understanding D-Ribose and Mitochondrial Function.
Adv Biosci Clin Med. 2018;6(1):1-5. doi: 10.7575/aiac.abcmed.v.6
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