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BFRが筋肉を増やすもう一つのメカニズム

BFRが筋肉を増やすもう一つのメカニズム

BFRが筋肉を増やすもう一つのメカニズム

ブラッシュアップセミナーで簡単に解説した内容を、こちらで文献付きで再度紹介することにしましょう。

まずはサルコペニアの原因について。加齢によって筋肉量・筋力が減少する原因の一つに、神経伝達物質であるアセチルコリンの働きが悪くなることが挙げられます。また神経筋接合部の機能や形態変化も影響します。

神経筋接合部の形成に必要なのがMuSK遺伝子であり、これはアセチルコリン受容体の凝集も受け持っています。加齢によってMuSK遺伝子の発現が低下するため、アセチルコリンの凝集系が崩れ、シナプス壁の減少や運動神経終末の縮小が起こります。

しかし10週間の軽いBFRトレーニングによってMuSKがコントロール群と比較して増加していました。そして筋肥大やニコチン様アセチルコリンレセプターの増加、PGC-1αの増加も起こっていたのです。(※1, ※2, ※3)

PGC-1αの増加はミトコンドリアの増加を示しています。加齢によってミトコンドリアが減少し、質も悪くなるのですが、BFRはその解決策となりそうです。

次にNOの発生です。NO(一酸化窒素)はアルギニンを基質として生成される神経伝達物質ですが、これは筋衛星細胞が筋細胞に融合(Fusion)するときに働きます。つまりNOが新しい筋細胞を発生させ、細胞数を増やすというわけです。(※4)

そしてBFRトレーニングによってNOの発生が増加することがわかりました。(※5)これもBFRトレーニングの筋発達の要因となりそうです。

アルギニン摂取とBFRトレーニングの組み合わせは相乗効果をもたらすと思われます。

またBFRトレーニングによってVEGFやIL-6も増加します。(※6)VEGFは血管を増やす成長因子で、これについてはこれまでに何度か言及しています。

IL-6は炎症性サイトカインですが、やはり炎症の指標であるマクロファージもBFRによって増加します。(※7)また分子シャペロンであるヒートショックプロテイン(HDP27)も増加しています。

ここで重要なのは、クレアチンキナーゼや酸化ストレスの増加が起こっていないということです。(※7)クレアチンキナーゼや酸化ストレスの増加は、筋細胞への「ダメージ」を示します。しかしIL-6やマクロファージ、HSP27の増加は筋細胞膜の「炎症」をしめします。

つまり炎症は起こるけどダメージは与えない。これぞ資格取得講座で良く筆者が話している「化学的ストレス」なのです。

BFRトレーニングの作用機序は解明されてきています。今後のさらなる研究発展が望まれます。

※1:

The receptor tyrosine kinase MuSK is required for neuromuscular junction formation and is a functional receptor for agrin.

Cold Spring Harb Symp Quant Biol. 1996;61:435-44.

※2:

Mild aerobic training with blood flow restriction increases the hypertrophy index and MuSK in both slow and fast muscles of old rats: Role of PGC-1α.

Life Sci. 2018 Mar 28. pii: S0024-3205(18)30165-6. doi: 10.1016/j.lfs.2018.03.051

※3:

Long-term Low-Intensity Endurance Exercise along with Blood-Flow Restriction Improves Muscle Mass and Neuromuscular Junction Compartments in Old Rats.

Iran J Med Sci. 2017 Nov;42(6):569-576.

※4:

Physiology of nitric oxide in skeletal muscle.

Physiol Rev. 2001 Jan;81(1):209-237.

https://www.physiology.org/doi/full/10.1152/physrev.2001.81.1.209

※5:

Blood flow restriction enhances post-resistance exercise angiogenic gene expression.

Med Sci Sports Exerc. 2012 Nov;44(11):2077-83. doi: 10.1249/MSS.0b013e3182625928.

※6:

Circulating hormone and cytokine response to low-load resistance training with blood flow restriction in older men.

Eur J Appl Physiol. 2013 Mar;113(3):713-9. doi: 10.1007/s00421-012-2479-5. Epub 2012 Aug 25

※7:

Blood flow restricted training leads to myocellular macrophage infiltration and upregulation of heat shock proteins, but no apparent muscle damage.

J Physiol. 2017 Jul 15;595(14):4857-4873. doi: 10.1113/JP273907. Epub 2017 Jun 23.

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