BFRトレーニングのメリットの一つは、通常よりも軽い負荷で効果を出せることにある。では具体的にどのくらいの負荷であれば効果が見込めるのであろうか。また、最大の効果をもたらす負荷は1RMの何%であろうか。40名を対象にさまざまな負荷で行った研究によれば、30%1RMで行った場合に確実な効果がもたらされている。20%1RMで行った場合と比較して、筋活動が顕著に高くなっていることが示されている。(※1)なお、この研究では圧力の違いは結果に大きな差をもたらさなかったようだ。また筋肥大作用と血中乳酸濃度についても、20%1RMよりも30%1RMで行った場合のほうが高い効果を得られている。(※2)20%1RMでは0.1cmの肥大だったのに対し、30%1RMでは0.2cmの肥大。血中乳酸濃度は20%1RMで3.7mmolだったのに対し、30%1RMでは5.5mmolであった。なお100mmHg、150mmHg、200mmHgの異なる圧で20%1RM、30%1RM、40%1RMのそれぞれでクレアチンリン酸の減少とリンの上昇、細胞内pHを測定したところ、150mmHgと200mmHgにおいてもっとも大きな変化がもたらされ、これは100mmHgと差がついていた。しかし150mmHgと200mmHgとの間に大きな差はなかった。また20%1RMよりも30%1RMのほうが、さらに30%1RMよりも40%1RMのほうが強い変化をもたらしていた。(※3)これらの結果から考慮するに、圧力は150mmHg、使用重量は30%~40%1RMで行うことにより、筋への刺激はもっとも強くなると考えられる。筋の強化が主な目的である場合、この圧と強度を推奨したい。なおリハビリやアンチエイジング、ダイエットにおける圧と強度については別に記す。※1:Effects of exercise with and without different degrees of blood flow restriction on torque and muscle activation.Muscle Nerve. 2015 May;51(5):713-21. doi: 10.1002/mus.24448.※2:The influence of exercise load with and without different levels of blood flow restriction on acute changes in muscle thickness and lactate.Clin Physiol Funct Imaging. 2016 Apr 14. doi: 10.1111/cpf.12367. [Epub ahead of print]※3:筋力増強に最も有効な血流制限下トレーニング運動条件の検索