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コラム

DHAが脳を護る

DHAが脳を護る

果糖の害は数多く、中性脂肪を増加させたり痛風や脂肪肝の原因になったり、AGEsを大量に生成したりなどの問題が知られている。また果糖はトランスケトラーゼというペントースリン酸経路における酵素の活性を高め、すい臓がんの増殖を促進することも分かっている。(※1)

さらに果糖に拠る脳への悪影響も、最近になって明らかとなってきた。果糖はDNAメチル化(DNAの後天的修飾)や選択的スプライシング(DNAの不要な部分切り捨てがスプライシング。それが変化し、複数の変異タンパクが生成されること)、マイクロRNA転写への影響などにより、様々な作用をもたらすようだ。(※2)

毎日1リットルの炭酸飲料を飲むに等しい量の果糖をマウスに与えたところ、脳における遺伝子ネットワークのキードライバーであるFmodとBgnに悪影響がもたらされた。ただしそれは同時にDHAを摂取することにより、改善されたのである。

視床下部においては果糖摂取によりFmodとBgnがダウンレギュレートされたが、「果糖+DHA」だと両者ともにアップレギュレートされた。海馬においては逆で、果糖摂取によりFmodとBgnがアップレギュレートされたが、「果糖+DHA」だと両者ともにダウンレギュレートされた。

DHAはプロテクチンと呼ばれる内因性の抗炎症物質を生成することが知られており、炎症を抑制するほかアルツハイマー病患者の脳内におけるPD1産生量を減らしたり、血管新生を抑制したり、神経細胞を保護したりといった作用があることが分かっている。またタンパク合成酵素であるp70s6kを活性化する作用もあるようだ。

また京都大学の研究では、高脂肪食に加えてEPAとDHAをマウスに10週間与えたところ、ただ高脂肪食を与えた群と比較して内臓脂肪が10~25%減少していた。(※3)

これは脱共役タンパクであるUCP-1が増加して白色脂肪組織がベージュ脂肪細胞に変化したことと、β3アドレナリン受容体が増加したことによるものである。

食事からEPAやDHAを摂取する場合、イワシには100gあたりに1400mgのEPAと1200mgのDHA、サンマには100gあたりに800mgのEPAと1300mgのDHA、サバには100gあたりに1200mgのEPAと1700mgのDHAが含まれる。つまり毎日これらの魚を100gずつくらい食べれば、効果は期待できる。

青魚を食べられない場合は、サプリメントで摂取することになる。その場合は消化酵素の分泌を考え、「一日のうちで、もっとも多く食べる食事」の後に飲むようにするといいだろう。普通は夕食後だ。

※1:

Fructose Induces Transketolase Flux to Promote Pancreatic Cancer Growth

Cancer Res. 2010 Aug 1;70(15):6368-76. doi: 10.1158/0008-5472.CAN-09-4615. Epub 2010 Jul 20.

※2:

Systems Nutrigenomics Reveals Brain Gene Networks Linking Metabolic and Brain Disorders

doi:10.1016/j.ebiom.2016.04.008

※3:

Fish oil intake induces UCP1 upregulation in brown and white adipose tissue via the sympathetic nervous system

Scientific Reports, 2015; 5: 18013 DOI: 10.1038/srep18013

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