コラム

疲れをとる栄養は? Part 4


  • サプリメント
  • 筆者:山本 義徳
疲労がなかなかとれない原因のひとつが、「睡眠不足」です。平均の睡眠時間としては7時間程度だと思われますが、平均9.8時間眠るようにすることで、平均8.2時間の睡眠時間だった場合よりも疲労に至るまでの時間が長くできることが12名の健康な男性を対象にした研究で示されています。(※1)
また思春期のアスリート340名を対象にした調査では、週末の睡眠時間を増やすことでケガをする割合を61%も低下させることができています。(※2)

20世紀の終わりごろに、ZMAというサプリメントが話題となりました。これは亜鉛とマグネシウム、ビタミンB6の組み合わせで、テストステロンを増やすという名目で大々的に宣伝されたものです。
しかし日本のボディビル掲示板ではテストステロンの上昇ではなく、睡眠の質の向上が主な話題となりました。実際にZMAを摂取したところ、良く眠れるようになったという報告が相次いだのです。

もっとも大きく影響するのはマグネシウムでしょう。カルシウムとマグネシウムはお互いに拮抗する作用があり、カルシウムは筋肉を緊張させるのに対し、マグネシウムには筋肉をリラックスさせる作用があるのです。(※3, ※4)
またマグネシウムには血圧を下げる作用も認められています。(※5)
またビタミンB6はグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)に結合することによって酵素の立体構造を変え、グルタミン酸やアンモニアからGABAを合成する助けをします。GABAにもリラックス作用があります。
さらにトリプトファンからセロトニンをつくるときにも、ビタミンB6は必要となります。

ただし問題もあり、その最たるものが吸収の悪さです。マグネシウムは下剤としても使われるくらいで、多めに摂取すると簡単に浸透圧性の下痢を引き起こしてしまいます。最初は一回に100mgくらいからはじめ、慣れてきても一回に200mg程度にとどめたほうが良いでしょう。それを一日数回に分けて摂取します。特に睡眠改善を狙う場合は夕食時と就寝前に必ず摂取するようにします。
ZMAはカルシウムとの拮抗作用を避けるためということで空腹時の摂取が推奨されていますが、空腹時だと余計に緩下作用が強まります。カルシウムとの拮抗は気にする必要はありません。

また皮膚から吸収させるということで、「エプソムソルト浴」も推奨できます。これは美容にも使われており、入浴剤としてネットで簡単に買えます。他にマグネシウムのゲルやクリームも販売されており、関節の痛みを和らげるためにも有用です。
ビタミンB6は水溶性ですので、これも一日3回程度に分けて「ビタミンB50」などとして摂取すると良いでしょう。これも夕食時と就寝時に摂ることで睡眠改善が期待できます。

※1:
Sleep Extension before Sleep Loss: Effects on Performance and Neuromuscular Function.
Med Sci Sports Exerc. 2016 Aug;48(8):1595-603. doi: 10.1249/MSS.0000000000000925.

※2:
Too little sleep and an unhealthy diet could increase the risk of sustaining a new injury in adolescent elite athletes.
Scand J Med Sci Sports. 2017 Nov;27(11):1364-1371. doi: 10.1111/sms.12735. Epub 2016 Aug 19.

※3:
Oral Mg(2+) supplementation reverses age-related neuroendocrine and sleep EEG changes in humans.
Pharmacopsychiatry. 2002 Jul;35(4):135-43.

※4:
Magnesium supplementation improves indicators of low magnesium status and inflammatory stress in adults older than 51 years with poor quality sleep.
Magnes Res. 2010 Dec;23(4):158-68. doi: 10.1684/mrh.2010.0220. Epub 2011 Jan 4.

※5:
The effect of magnesium supplementation on blood pressure: a meta-analysis of randomized clinical trials.
Am J Hypertens. 2002 Aug;15(8):691-6.

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