コラム

BFRトレーニングと成長ホルモン


  • BFRトレーニング
  • 筆者:山本 義徳
成長ホルモンはその名の通り、身体が「成長」するときに必要とされるホルモンです。脳下垂体前葉のGH分泌細胞から分泌され、191個のアミノ酸から構成されています。

成長ホルモンの主な作用はもちろん「成長」ですが、これはIGF-1(インスリン様成長因子)を介して起こる作用です。成長ホルモンは肝臓においてIGF-1に変換され、このIGF-1が筋肉や骨の発達を促します。(※1)
加齢にともなう成長ホルモンの量

加齢にともなう成長ホルモンの量

さらにIGF-1はコラーゲンの合成を促したり髪や爪などを育てたりする作用があります。(※2)成長ホルモンがアンチエイジングに役立つのは、こういった効果によるものです。またコラーゲン合成増加はケガの回復を促進し、リハビリの役にも立ってくれます。

いっぽうで成長ホルモンにはIGF-1を介さない作用もあり、血糖値を高めたり体脂肪を減らしたりすることにより、ダイエッターにとって嬉しい効果をもたらしてくれます。

さて成長ホルモンの分泌はパルス状に起こり、15分ほどでピークに達し、60分ほどで元に戻るというサイクルを一日に8回ほど繰り返します。特に睡眠時に強いパルスが起こることが知られています。

しかし下の図の通り、成長ホルモンの分泌は加齢とともに減少してしまいます。では加齢に負けず、成長ホルモンをしっかり分泌させるにはどうすれば良いのでしょうか。

そこで血流を制限するBFRトレーニングです。BFRトレーニングを行うことにより、成長ホルモンが大量に分泌されることが確認されています。(※3)
通常のトレーニングでも成長ホルモンは分泌されるのですが、2012年に行われた研究では軽重量でのBFRトレーニングのほうが高重量を用いて行われた普通のトレーニングよりも多くの成長ホルモンが分泌されたという結果が出ています。(※4)

このメカニズムの詳細は分かっていませんが、乳酸が発生しないと成長ホルモンの分泌が見られないことから(※5)、現在の仮説では次のように考えられています。
運動中に血流を制限すると、筋肉に酸素が行きわたりにくくなります。このような状態だと、身体は「解糖系」と呼ばれるエネルギー合成経路に頼ることになります。
解糖系でエネルギーをつくると、乳酸が発生します。そして乳酸が脳下垂体にシグナルを送り、成長ホルモンを分泌させるものと思われます。

成長ホルモンは前述の通りコラーゲンを合成して美しい髪や肌、爪を産みだし、アンチエイジングの大きな武器となってくれます。さらに筋肉や骨を強くしてくれます。
それだけでなく脂肪を合成する酵素の働きを邪魔して体脂肪の合成を減らしたり(※6)、脂肪を分解する酵素を活性化して体脂肪の分解を増やしてくれます。(※7)

若々しくて美しいカラダはBFRトレーニングによって得られます。
さあ、今からでもBFRトレーニングをはじめましょう!


※1:
Regulation of muscle mass by growth hormone and IGF-I
C P Velloso1
Br J Pharmacol. 2008 Jun; 154(3): 557–568.

※2:
Insulin-like growth factor-1 increases synthesis of collagen type I via induction of the mRNA-binding protein LARP6 expression and binding to the 5' stem-loop of COL1a1 and COL1a2 mRNA.
Blackstock CD1, Higashi Y, Sukhanov S, Shai SY, Stefanovic B, Tabony AM, Yoshida T, Delafontaine P.
J Biol Chem. 2014 Mar 14;289(11):7264-74. doi: 10.1074/jbc.M113.518951. Epub 2014 Jan 27.

※3:
Hormone responses to an acute bout of low intensity blood flow restricted resistance exercise in college-aged females.
Kim E1, Gregg LD1, Kim L1, Sherk VD2, Bemben MG1, Bemben DA2.
J Sports Sci Med. 2014 Jan 20;13(1):91-6. eCollection 2014.

※4:
Growth hormone responses to acute resistance exercise with vascular restriction in young and old men.
Manini TM1, Yarrow JF, Buford TW, Clark BC, Conover CF, Borst SE.
Growth Horm IGF Res. 2012 Oct;22(5):167-72. doi: 10.1016/j.ghir.2012.05.002. Epub 2012 Jun 23.

※5:
The role of lactate in the exercise-induced human growth hormone response: evidence from McArdle disease.
Godfrey RJ1, Whyte GP, Buckley J, Quinlivan R.
Br J Sports Med. 2009 Jul;43(7):521-5. doi: 10.1136/bjsm.2007.041970. Epub 2008 Jan 9.

※6:
Effect of growth hormone on adipose tissue and skeletal muscle lipoprotein lipase activity in humans.
Richelsen B1.
J Endocrinol Invest. 1999;22(5 Suppl):10-5.

※7:
Effects of growth hormone on adipose tissue.
Carrel AL1, Allen DB.
J Pediatr Endocrinol Metab. 2000 Sep;13 Suppl 2:1003-9.

関連サイト


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