コラム

BFRトレーニングは神経系の発達を引き起こす?


  • BFRトレーニング
  • 筆者:山本 義徳
BFRトレーニングによって筋肥大が起こることは知られているが、筋肥大よりもむしろ筋力向上効果のほうが強くみられたという報告も多くある。

レッグエクステンションとレッグカールを週3回、7週間に渡って行った研究がある。トレーニングは合計21回となる。

一般的な高重量トレーニング群とBFR群、コントロール群に分けて比較したところ、レッグエクステンションの筋力は高重量トレーニング群が19%増加、BFR群も19%増加で同程度だった。コントロール群は2%の増加。
レッグカールの筋力は全群で同程度に増加した。なお筋CSAは高重量群で2.2%の増加だったのにたいし、BFR群は3.0%の増加だった。コントロール群は2.1%の増加。(※)

ここで面白いのは、大腿部の筋CSAが全群において同程度だったということである。つまり筋肥大において、大差はなかったというわけだ。
しかし、筋力においては特にレッグエクステンションにおいてトレーニングを行った群とコントロール群とで大きな差が出ている。

これは高重量トレーニングであれ、低重量のBFRトレーニングであれ、神経系の適応によって筋力が高まった割合が大きいということを示唆している。

一般的なウェイトトレーニングにおいて、まずは神経系の適応が起こって筋力が増加し、その後に筋肥大が起こることは良く知られている。これは高重量を扱うことによるものと思われていたが、BFRのような軽い重量のトレーニングでもそれが起こることは誠に興味深い。

アスリートがケガをしてトレーニングを休むと、神経系適応が減弱して筋力が低下する。そこでBFRで軽い重量でのトレーニングを継続することにより、神経系の適応を維持し、復帰時における筋力低下を予防できる可能性もあるだろう。


※:
Muscle Adaptations to Heavy-Load and Blood Flow Restriction Resistance Training Methods
Front Physiol. 2022 Feb 3;13:837697. doi: 10.3389/fphys.2022.837697. eCollection 2022.

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