コラム

肥満への対処としてのBFRトレーニングは


  • ダイエット・食事
  • 筆者:山本 義徳
国内におけるフィットネス人口は徐々に増えつつあり、家でトレーニングしたり、ジムに通ったりすることがライフスタイルに組み入れられつつあると言って良いだろう。
特に高齢者の間でフィットネスが流行するのは喜ばしいことであり、フレイルを防止して健康寿命を延ばすのに大いに役立つと思われる。

しかしいっぽうでその流れに乗れない者たちも多い。それまで運動したことの無い人がトレーニングをはじめようと決心するのは意外にハードルが高く、ジムに入会するのも気後れしてしまうようだ。

ジムに入会できないのは、自身の体型にたいするコンプレックスが邪魔していることも多い。特に肥満を自覚している場合、「痩せてからジムに入ろう」と考え、結局痩せることもジムに入会することもないまま時だけが過ぎ去ってしまう。

そこでお勧めしたいのがBFRサイクリングである。自転車に乗るだけならば日常生活に組み入れることも可能だし、自宅内で誰にも見られず、バイクを漕ぐこともできる。

そしてこれが重要なのだが、通常ならば自転車であってもトレーニング効果を得るためにはそれなりの強度が必要となる。しかしBFRサイクリングならば、非常に軽い強度でも効果を得ることが可能なのだ。

肥満の男子学生37名(18~22歳)を対象に、最大酸素摂取量(VO2max)の40%でのサイクリングを週2回、12週間に渡って行わせた研究がある。BFR群は18名、対照群は19名である。(※)
160~200mmHgで加圧し、15分サイクリングして1分間の休憩、休憩中はベルトを緩める。これを3セットである。
その結果、BFR群は対照群と比べて大腿部皮膚肥厚と血糖値、総コレステロールにおいて有意な改善がみられていたのだ。
体重と体脂肪率も対照群と比べて明らかに減少し、ウエスト周囲径も減っていた。

つまり最大酸素摂取量の40%という軽い強度のサイクリングでも、BFRならば体組成が大きく変わり、健康になれるということである。
おそらくは圧を弱め、時間を短くしても同等の効果が得られるだろう。ジムに入会するのに二の足を踏んでいる人は、ぜひ軽い強度でのBFRサイクリングを試して欲しい。

※:
Effects of 40% of Maximum Oxygen Uptake Intensity Cycling Combined with Blood Flow Restriction Training on Body Composition and Serum Biomarkers of Chinese College Students with Obesity
Int J Environ Res Public Health. 2021 Dec 24;19(1):168. doi: 10.3390/ijerph19010168.

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