BFRトレーニングにおいては成長ホルモンとIGF-1を主としたホルモン系の刺激や化学的ストレスが筋発達に大きな影響を与えるとされている。しかし、それだけではないかもしれない。30%1RMでのレッグプレスを6セット、BFRあるいは通常負荷で行い、30分後に外側広筋の生検を行って電子顕微鏡で調べた研究があります。(※1)その結果、BFRによって筋肉の微細構造に変化が起こっていることがわかりました。250のサルコメア(筋節)と筋形質について調べたところ、BFRトレーニングのほうがサルコメアの長さを増加させていたのです。サルコメアの幅は両者で差がありませんでした。サルコメアを区切るZ板への影響もなかったようです。そして面白いことに、筋形質においても両者に差がなかったのです。BFRにおける化学的刺激は通常トレーニングに比べて筋形質を増やすと考えられるため、これは意外な結果かもしれません。さらにBFRトレーニングによって筋原線維の超微細構造が「波」のような形を示すことがわかりました。そして筋原繊維周辺の液体のポケットを作り出し、周囲の筋原線維を破壊している可能性があります。BFRによる体液の貯留が、そのような変化を引き起こすものと思われます。こちらはまだ出たばかりの論文ですが、同様の研究はこれからも行われてくると思われます。血流制限によるトレーニングは軽い負荷でも化学的だけでなく物理的なストレスをも与え、筋構造に変化をもたらしてくるのかもしれません。※1:Comparison of skeletal muscle ultrastructural changes between normal and blood flow-restricted resistance exercise: A case reportExp Physiol. 2021 Nov;106(11):2177-2184. doi: 10.1113/EP089858. Epub 2021 Sep 29.