手足の付け根にベルトを巻いて、軽く圧迫する。すると腕や脚における血液の流れが、少しだけ制限されます。血液が流れているということは、酸素が運ばれているということです。でも血液の流れが制限されていると、酸素が筋肉に行き渡らなくなります。このような状態で運動を行うことを、BFR(血流制限)トレーニングと呼びます。なおBFRはBlood Flow Restrictionの頭文字を取ったものです。実は普通にトレーニングしているときも、同じようなことが起こります。筋肉に力を入れると、筋肉が膨らみます。すると筋肉は周囲の血管を圧迫しますので、血管が細くなります。血管が細くなると、血液の流れは制限されますし、酸素も行き渡りにくくなります。そして筋肉の力を抜くと血管の太さは元に戻り、血液が正常に流れだし、酸素も行き渡るようになります。BFRトレーニングは四肢をカフで巻くことにより、この一連の流れをずっと効率的に行えるようにしたものです。このように血液の流れが制限されるのは、普通のトレーニングでも起こっていることです。ですからBFRトレーニングが取り立てて危険だということはありません。むしろBFRトレーニングは普通のトレーニングよりも扱う重量が軽く、しかも非常に短時間で終わります。扱う重さが軽ければ、関節などへのダメージが少なくなります。また短時間で終わるということは、血液の流れが制限されている時間も短いということです。重さが軽いと書きましたが、具体的にどれくらいの重さとなるのでしょうか。「1RM」という言葉があります。これはギリギリ1回だけ持ち上がる重量のこと。50%1RMとあれば、ギリギリ1回上がる重量の50%ということです。普通のトレーニングだと、効果を出すためには70%1RMより重い重量を扱う必要があるとされます。つまりギリギリ100kg上がるとしたら、70kg以上の重りを持たなければなりません。しかしBFRトレーニングの場合、なんと20%1RMでも効果があるのです。今の例で言うと、ギリギリ100kg上がる人なら、たった20kgの重りで良いということです。血流を制限して行うことで、なぜそのような効果が出てくるのでしょうか。次回からそれについて解説していきましょう。