BFRトレーニングがリハビリに有効なことは周知のこととなっていますが、その有効性を証明するためにはエビデンスの蓄積が必要となります。この度、膝の手術におけるBFRトレーニングの有効性について初のシステマティックレビューとメタアナリシスが行われました。(※1)前十字靭帯再建術(n = 10)と膝関節鏡手術(n = 1)を含む11件の研究が対象となり、術後にBFRを使用することで、筋萎縮を定量化する際の断面積が有意に改善されることが示されました。術前におけるBFRトレーニングは特に有効性は示さなかったようです。また論文のうち4本は筋力の増加も報告されていました。残念ながら患者が報告するアウトカム指標については、対象となった研究間で有意な差は認められなかったそうです。手術はしていない膝関節症の患者を対象に行われたシステマティックレビューとメタアナリシスもあります。(※2)8本の論文をもとにしたシステマティックレビュー&メタアナリシスでは、通常の大腿四頭筋強化プログラムと比較して、機能と筋厚の改善に同等の効果があった一方で、膝の痛みが少なく、ビジュアルアナログスケール(白紙に100mmの線を引き、一番左を痛みが全くない状態、一番右を最高に痛い状態とする)において22mmの追加効果があったそうです。高齢化社会に伴って、膝関節症や膝の手術を受ける人は増えてくるはずです。予防のためにも治療のためにも大腿四頭筋の強化が必要となりますが、BFRトレーニングはそのための良い選択肢となりうるでしょう。※1:The Effects of Blood Flow Restriction in Patients Undergoing Knee Surgery: A Systematic Review and Meta-analysisAm J Sports Med. 2021 Aug 18;3635465211027296. doi: 10.1177/03635465211027296.※2:Quadriceps strengthening with blood flow restriction for the rehabilitation of patients with knee conditions: A systematic review with meta-analysisJ Back Musculoskelet Rehabil. 2020;33(4):529-544. doi: 10.3233/BMR-191684.