軽い重量で高回数を行うBFRトレーニングは、テンポよく行うことが一般的となります。ゆったりとしたテンポで行うと運動時間・筋緊張時間が長くなり、30→15→15→15などのプロトコルで行うと、かなりきつくなってしまうはずです。きつい状態を早く終えたくて、スピーディにレップスを繰り返す人は多いと思われますが、実は血流制限することによってレップを早く行えているという可能性があります。トレーニング経験者11名(ベンチプレス1RMの平均101.8kg)を対象に、BFRなし(NO-BFR)と間欠的BFR(I-BFR),連続的BFR(C-BFR)の3群に分け、それぞれ20〜90% 1RM(10%ステップ)の範囲で負荷を増加させながら,2回の反復を8セット行いました。インターバルは3分です。(※1)その結果、ベンチプレスのバー速度はI-BFRとC-BFRにおいて、NO-BFRよりも12~17%向上したのです。またBFRを行わない群と動脈閉塞圧(AOP)100%でBFRを行う群、動脈閉塞圧150%でBFRを行う群の三つに分け、70%1RMのスクワットを3回3セット行った研究もあります。(※2)その結果、150%AOPでのBFRトレーニング群において、明らかなバー速度向上がみられました。さらにスクワット1RMが平均183.2kgの男性11名を対象に、BFRトレーニングなし(NO-BFR)と間欠的BFR(I-BFR),連続的BFR(C-BFR)の3群に分け、圧力は約80%の動脈閉塞圧に設定して、2レップスのスクワットを40〜90%1RMで6セット行った研究があります。この結果、バー速度は向上しなかったものの、低下もしなかったとのことでした。(※3)おそらくはカフの張力がネガティブ時に働いてスピードを高めていると思われますが、これらの結果は化学的ストレスが与えられている中でもスピードを落とさず、むしろ爆発的レジスタンストレーニングの強化として利用できる可能性を示しています。※1:Acute Effects of Continuous and Intermittent Blood Flow Restriction on Movement Velocity During Bench Press Exercise Against Different LoadsFront Physiol. 2020 Nov 27;11:569915. doi: 10.3389/fphys.2020.569915. eCollection 2020.※2:The Acute Impact of External Compression on Back Squat Performance in Competitive AthletesInt J Environ Res Public Health. 2020 Jun 29;17(13):4674.※3:Acute Effects of Different Blood Flow Restriction Protocols on Bar Velocity During the Squat ExerciseFront Physiol. 2021 Jun 21;12:652896. doi: 10.3389/fphys.2021.652896. eCollection 2021.