筋肉を増やす効果のある新しい薬剤を開発し、動物実験で効果を確かめたと、東京大の研究チームが2021年5月15日発表しました。高齢者やがん患者の筋力低下を防ぐ治療薬につながる可能性があるという。成果は、科学誌「アイサイエンス」に掲載される。新規ミオスタチン阻害薬である1価FSTL3-Fcの開発~ 先行製剤の問題点を改善して骨格筋肥大や代謝改善の効果に期待 ~■発表者森川 真大(東京大学大学院医学系研究科 病因・病理学専攻 分子病理学 助教)小澤 崇之(研究当時:東京大学大学院医学系研究科 病因・病理学専攻 博士課程/研究当時:日本学術振興会 特別研究員)鯉沼 代造(東京大学大学院医学系研究科 病因・病理学専攻 分子病理学 准教授)宮園 浩平(東京大学大学院医学系研究科 病因・病理学専攻 分子病理学 教授)筋肉の発達を抑える働きのある「ミオスタチン」などの体内物質に着目。これらの物質の働きを阻害する薬剤を作り、筋肉が衰える筋ジストロフィーのマウスに2週間投与したところ、偽薬を与えたマウスに比べ、後肢の筋肉が2~3割増加したことを確かめた。前肢の握力も増加した。副作用は見られなかったという。