BFRトレーニングでは一般的なトレーニングよりも遥かに軽い負荷で効果が得られることが知られている。筋力や筋肥大の効果は20%1RMからはじまり、40%1RMで最大となることがいくつかの研究から導き出されているため、20%1RM~40%1RMの負荷で行うのが一般的なプロトコルとなっている。軽いダンベルやペットボトルでもある程度は鍛えることが可能なのがBFRのメリットでもあるのだが、ではゼロ負荷ではどうだろうか。トレーニング経験者39名を対象に、安静時動脈圧の40%で5cmのカフを巻き、なにも持たずにできるだけ上腕二頭筋を収縮させながらカールを20回4セット行った研究がある。(※1)インターバルは30秒だ。その結果、カフを巻かなかった方と比較してBFRを行った方が運動後のトルク低下が著しく、また疲労感が高く、動脈閉塞圧もわずかに高くなっていた。95%1RMという高重量でカールを行った場合、血圧は200mmHgを超えることがあると報告されている。(※2)しかしゼロ負荷で行った本研究では、BFRという負荷によってもわずかな血圧増加しか起こっておらず、健康面での悪影響なしに疲労感を与えることが示されている。BFRなしでゼロ負荷のトレーニングを行った研究もある。(※3)70%1RMでトレーニングした群と、ゼロ負荷で筋収縮をできるだけ強く行わせながらトレーニングした群とで18セッション後に比較した。その結果、筋力は70%1RM群のほうが伸びていたが、ゼロ負荷のほうも少しだけ筋力の増加が起こっており、筋厚の増加はどちらも同等だったとされている。これは非常に示唆に富む研究であり、BFRでのゼロ負荷トレーニングに大きな可能性があることが見出されている。今後の展開が楽しみとなろう。※1:Cardiovascular and Muscular Response to NO LOAD Exercise with Blood Flow RestrictionInt J Exerc Sci. 2020 Dec 1;13(2):1807-1818. eCollection 2020.※2:Arterial blood pressure response to heavy resistance exerciseJ Appl Physiol (1985). 1985 Mar;58(3):785-90. doi: 10.1152/jappl.1985.58.3.785.※3:The acute and chronic effects of "NO LOAD" resistance trainingPhysiol Behav. 2016 Oct 1;164(Pt A):345-52. doi: 10.1016/j.physbeh.2016.06.024. Epub 2016 Jun 18.