一般的に腱を強化するためには、ある程度強い負荷を与える必要があるとされています。9名の被験者を使って12週間に渡り、週3回のレッグエクステンションを行わせた2006年の研究があります。片方の脚は80%1RMでの負荷、もう片方の脚は20%1RMで血流制限を行いました。その結果、どちらも外側広筋の筋体積は同等に増加しました。しかし高重量群では筋力と腱の剛性が増加したのにたいし、血流制限群では増加しなかったのです。(※1)しかし最近の研究では違った結果が出ています。55名を対象に行われた2019年の研究があります。20%1RM35%1RMでの血流制限群と、70%1RM85%1RM群での高重量群、そしてコントロール群(トレーニングなし)に振り分け、アキレス腱を14週間に渡ってトレーニングさせました。その結果、低負荷でのBFRトレーニング群と高重量群とで同等の腱剛性、腱のCSA増加が起こったのです。(※2)アキレス腱はケガの起こりやすい部位であり、高重量でのトレーニングはオーバーワークなどによるケガを引き起こしやすいといえます。低負荷でのBFRトレーニングが腱の強化、治療に有効となれば、より安全なトレーニングプランを立てることが可能となってくることでしょう。今後のさらなる展開が期待されます。※1:Effects of low-load resistance training with vascular occlusion on the mechanical properties of muscle and tendonJ Appl Biomech. 2006 May;22(2):112-9. doi: 10.1123/jab.22.2.112.※2:Low-load blood flow restriction training induces similar morphological and mechanical Achilles tendon adaptations compared with high-load resistance trainingJ Appl Physiol (1985). 2019 Dec 1;127(6):1660-1667. doi: 10.1152/japplphysiol.00602.2019. Epub 2019 Nov 14.