BFRトレーニング(血流制限トレーニング)は成長ホルモンの分泌を促し、コラーゲンの合成を高めることによってケガの予防や治療に役立つといわれている。9名の橈骨遠位端骨折をした患者を対象に、BFR群(5名)と対照群(4名)とに分けて8週間のリハビリプログラムを行ったところ、BFR群は有意に痛みが減少し、患者評価による手首評価スコア(PRWE)が改善していた。(※1)また13人の橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)をした患者を対象に、BFR群(n = 6)と対照群(n = 7)に分けて8週間のリハビリプログラムを行った研究でも、同様の結果が出ている。(※2)一般的に骨は長軸方向への強い負荷がかかることによって強化されるといわれているが、BFRトレーニングにおける軽めの負荷によっても同様のことが起こるようだ。なお12名の参加者を対象に、両脚に振動(VIBRA; 1-2mm, 30Hz)を、片脚のみに圧迫(約35mmHg, VIBRA+COMP)を加えたレジスタンストレーニングを12週間実施した前後で試験を行った研究がある。その結果、皮質骨(骨の表面にある硬く緻密な骨)の骨量増加が認められている。またトレーニングにおけるレップス数も増えている。(※3)ここでは締め付ける圧は軽度であることから、振動と組み合わせることによって軽度の圧力でも骨に与える影響は十分に得られることが推察される。今後のリハビリプログラムに役立つ知見と言えるだろう。※1:Safety and Efficacy of Blood Flow Restriction Therapy after Operative Management of Distal Radius Fractures: A Randomized Controlled StudyJ Wrist Surg. 2020 Aug;9(4):345-352. doi: 10.1055/s-0040-1712504. Epub 2020 Jun 22.※2:Blood Flow Restriction Therapy after Closed Treatment of Distal Radius FracturesJ Wrist Surg. 2019 Aug;8(4):288-294. doi: 10.1055/s-0039-1685455. Epub 2019 Apr 16.※3:Effect of resistance training with vibration and compression on the formation of muscle and boneMuscle Nerve. 2017 Dec;56(6):1137-1142. doi: 10.1002/mus.25560. Epub 2017 Mar 27.