コラム
2023/07/07

BFRトレーニングによって、低酸素状態が起こります。そして虚血再灌流障害によって組織がダメージを受けるのですが、筋肥大に必要なダメージは得たいものの、健康に摂って悪影響の出るようなダメージは避けたいものです。
虚血再灌流障害によって活性酸素が発生し、組織に傷害が起こります。これによってタンパク質やミトコンドリアの劣化が起こるのですが、それを「カルニチン」が防げるという報告があります。(※1)
また神経障害についてもカルニチンあるいはアセチルカルニチン(ALC)のプロテクト作用が認められています。カルニチンにはスカベンジャーとして活性酸素を除去する作用もあるようです。(※2, ※3
ハードトレーニングにおけるカルニチンの筋保護作用は知られていて、クレアチンキナーゼの減少や(※4)、エクササイズに伴って起こる低酸素状態や筋ダメージ、筋肉痛などに対する効果が認められています。ミオグロビンやマロンジアルデヒドの漏出減少も起こるようです。(※5, ※6)
これらの効果を得るためには、一日1~2gのカルニチン摂取で十分なようです。(※7)
カルニチンは血管内皮細胞が正常な機能を果たすためにも必要とされ(※8)、NOを発生させて血管を拡張する際にも必要な栄養素となります。(※9, ※10)
一日2gのカルニチンを14日間に渡って摂取したところ、抗酸化能力が高まって筋ダメージが減り、バスケットボール選手を対象にした研究でも同様の結果が出ています。
(※11, ※12)
ただし一度にカルニチンを摂取すると、下痢することが大半です。一回の摂取量は500mg程度に抑え、それを数回に分けて摂取するようにしたほうがいいでしょう。
なおアセチルカルニチン(ALC)の場合は吸収が良いため、あまり下痢することもありません。ALCは集中力を高める作用もあるため、トレーニングの45分くらい前に2~3gを飲むことでトレーニング効果を高めることができます。
※1:
l-Carnitine Supplementation in Recovery after Exercise.
Nutrients. 2018 Mar 13;10(3). pii: E349. doi: 10.3390/nu10030349.
※2:
L-Carnitine and Acetyl-L-carnitine Roles and Neuroprotection in Developing Brain.
Neurochem Res. 2017 Jun;42(6):1661-1675. doi: 10.1007/s11064-017-2288-7. Epub 2017 May 16.
※3:
L-carnitine supplementation as a potential antioxidant therapy for inherited neurometabolic disorders.
Gene. 2014 Jan 10;533(2):469-76. doi: 10.1016/j.gene.2013.10.017. Epub 2013 Oct 19.
※4:
Effects of prolonged l-carnitine administration on delayed muscle pain and ck release after eccentric effort.
Int. J. Sports Med. 1996;17:320–324.
※5:
Effects of l-carnitine l-tartrate supplementation on muscle oxygenation responses to resistance exercise.
J. Strength Cond. Res. 2008;22:1130–1135.
※6:
l-carnitine l-tartrate supplementation favorably affects markers of recovery from exercise stress.
Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab. 2002;282:E474–E482.
※7:
Responses of criterion variables to different supplemental doses of l-carnitine l-tartrate.
J. Strength Cond. Res. 2007;21:259–264. doi: 10.1519/00124278-200702000-00046.
※8:
Carnitine requirement of vascular endothelial and smooth muscle cells in imminent ischemia.
Mol Cell Biochem. 1992 Oct 21; 116(1-2):125-9.
※9:
l-carnitine supplementation: A new paradigm for its role in exercise.
Monatshefte Chem. 2005;136:1383–1390.
※10:
Effects of carnitine supplementation on flow-mediated dilation and vascular inflammatory responses to a high-fat meal in healthy young adults.
Am J Cardiol. 2008 Nov 15;102(10):1413-7. doi: 10.1016/j.amjcard.2008.07.022. Epub 2008 Sep 11.
※11:
The effect of two-week l-carnitine supplementation on exercise -induced oxidative stress and muscle damage.
Asian J. Sports Med. 2014;5:123–128.
※12:
The in vivo and in vitro effects of L-carnitine supplementation on the erythrocyte membrane acetylcholinesterase, Na+, K+-ATPase and Mg2+-ATPase activities in basketball players.
Clin Chem Lab Med. 2008; 46(1):137-42.
食事・サプリメント

年末年始に太らない食べる順番だけで血糖値は3割減?食後の眠気も撃退「最強の食事法」
はじめに:なぜ「食べる順番」だけで痩せるのか?年末年始、忘年会や新年会、実家への帰省など、どうしても食事の量が増えがちなシーズンがやってきました。「美味しいものは食べたい、でも太りたくない」……これは...
齊木 英人

BFRトレーニングとシリカの相性:女性の健康と美容をサポートする新たな可能性
はじめに近年、健康志向の高まりとともに、効率よく筋力をつけながら美容と健康を維持する方法が注目されています。その中で、*低負荷でも筋力アップが可能な「BFR(血流制限)トレーニング」と、骨・関節の健康...
久保 綾乃

BFRトレーニングとアルギニンの効果をやさしく解説
BFRトレーニング(血流制限トレーニング)は、軽い負荷でも筋肉を大きくする効果があるトレーニング方法として注目されています。このトレーニングを行うと、体内で「一酸化窒素(NO)」や「ヒートショックプロ...
齊木 英人

あんパン。今やスポーツ選手の補食?
スポーツシーンにいろいろな食べ物が登場する。トップアスリートには有名な食品メーカーが寄り添い、栄養サポートをしているし、子供やお年寄りの栄養指導は行政が指導し、スポーツジムではダイエットや体力づくり、...
齊木 英人

ラクトバチルス・ロイテリ菌の効果とは
プロバイオティクスには様々な種類があるが、特にお勧めしたいのが「ラクトバチルス・ロイテリ菌」である。まだ動物実験での段階ではあるが、数多くの作用が認められており、ヒトでの研究も進められている。さてこの...
山本 義徳

ビタミンDの多彩な効果とは
ビタミンは主に「補酵素」として働くのに対し、ビタミンDは少々異質である。すなわち、体内で生成可能であり、レセプターが存在し、ホルモン様作用を起こすのである。なおビタミン摂取において必ず議論となるのが、...
山本 義徳
通常のトレーニングには1RM(1回持ち上げることが限界の重さ)の60%以上の重さを必要としていますが、BFRトレーニングでは1RMの20%程度の重さで効果を得るとができます。
BFRトレーナーズ協会は、安全で的確なトレーニングの指導を行い、正しい知識と技術を持ったトレーナーを育成し、より多くの人たちにその効果を実感してもらえるようBFRトレーニングの普及を目指します。
© BFR Trainers Institute 2025