軽い重量で行うBFRトレーニングに筋肥大効果があることは知られているが、筋力強化においては高重量でのトレーニングのほうが効果は高いと思われている。しかし血流制限によって優先的に速筋繊維が使われるということは、BFRトレーニングにも十分に筋力増大効果が期待できるはずだ。16本の論文を分析したシステマティックレビュー/メタ分析によれば、20歳から80歳の被験者を対象に高重量トレーニングとBFRトレーニングで比較したところ、筋力増加に違いはなかったとされている。(※1)高重量トレーニングは神経系の発達も期待できるため、軽い重量でのBFRトレーニングよりも筋力増加が起こると考えられるが、結果はそうでもないようだ。軽い重量のBFRトレーニングでも神経系はある程度の発達が起こるのだろう。では腱の発達はどうだろうか。55名の男性を対象に20%1RM~35%1RMでのBFRトレーニングあるいは高重量トレーニング(70%1RM~85%1RM)を14週間に渡って行った研究では、どちらも腱剛性、腱断面積において同等の増加が起こっている。腱剛性では高重量群で40.7%、BFR群では36.1%。腱断面積では高重量群で4.6%、BFR群で7.8%の増加だった。(※2)血流制限によって乳酸の蓄積が起こり、それが脳下垂体を刺激して成長ホルモンを分泌すると言われている。成長ホルモンにはコラーゲン合成作用があるため、BFRトレーニングによって腱の増強も起こるのだろう。なお、動脈圧の50%で十分に乳酸の蓄積は起こり、高重量トレーニングと同等の効果を得られるということになっている。(※3)むやみに強く締め付けるようなことは行わないように注意していきたい。※1:Effect of blood-flow restricted vs heavy-load strength training on muscle strength: Systematic review and meta-analysis.Scand J Med Sci Sports. 2020 Feb 7. doi: 10.1111/sms.13632.※2:Low-load blood flow restriction training induces similar morphological and mechanical Achilles tendon adaptations compared with high-load resistance training.J Appl Physiol (1985). 2019 Dec 1;127(6):1660-1667. doi: 10.1152/japplphysiol.00602.2019. Epub 2019 Nov 14.※3:Low-load resistance training with low relative pressure produces muscular changes similar to high-load resistance training.Muscle Nerve. 2017 Dec;56(6):E126-E133. doi: 10.1002/mus.25626. Epub 2017 Mar 26.