コラム

BFR(血流制限)トレーニングを もっと知ろう! Part 3


  • BFRトレーニング
  • 筆者:山本 義徳
BFRトレーニングでは「化学的」ストレスが筋細胞にさらされます。それにより筋細胞におけるタンパク合成が盛んになります。カラダのタンパク合成を主に担っているのは、「S6キナーゼ」という酵素です。S6キナーゼがリン酸化されると、様々なリボゾームタンパクをリン酸化して、翻訳が促進されます。そしてこの酵素はmTORというシグナル伝達経路が活性化することにより働きが強くなります。

いっぱい食べてインスリンが出ると、身体が大きくなります。成長期には成長ホルモンが大量に出て、身体が大きくなります。男性は女性よりも男性ホルモン(テストステロン)が多いため、身体が大きくなります。
これらのホルモンは直接身体を大きくするわけではなく、mTOR経路を介して大きくするのです。ですからmTORをシャットダウンすると、インスリンや成長ホルモン、テストステロンを使っても、あまり身体は大きくなりません。

そして血流を制限することによっても、mTORは活性化するのです。つまりBFRトレーニングをすることにより、たっぷり食べてインスリンを出したり、若いころのように成長ホルモンを増やしたり、男性ホルモンを増やしたりしなくても、筋肉を増やすことができるというわけです。
特にこの作用は年齢が高くなるほど強くなるため、40歳以降の方には特にBFRトレーニングの効果を実感していただけるはずです。(※1)

インスリンや成長ホルモン、男性ホルモンなどのホルモンは身体にダイナミックな変化をおよぼします。つまり多すぎても良くありません。ホルモンが多い状態というのは長続きしますから、mTORの活性化も長期に及びます。
実はこれが問題です。mTORは細胞の成長を促しますので、身体にもし癌細胞があったりしたら、癌細胞も成長させてしまうことになります。

しかしBFRトレーニングがmTORを活性化する時間は、そう長くは続きません。そのためホルモンを操作するよりも安全性が高くなります。とはいえ、既に癌と診断されている方や、まだ治療が終わって5年経っていないような方はBFRトレーニングを控えたほうが良いでしょう。

※1:
Blood flow restriction exercise stimulates mTORC1 signaling and muscle protein synthesis in older men
J Appl Physiol (1985). 2010 May; 108(5): 1199–1209.

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