コラム

バレエ障害の原因と治療法 バレエとアキレス腱炎


  • BFRトレーニング
  • 筆者:里見 悦郎
バレエとアキレス腱炎


これまで2度に渡りクラシックバレエの怪我の大規模調査を行いました。新国立劇場バレエ団、谷桃子バレエ団、東京シティバレエ団などの著名バレエ団の協力を得て、広範囲な調査をおこなったのは3年前のことです。

その調査によって捻挫、アキレス腱炎、靭帯損傷、腰痛が多い障害であることがわかりました。特に、アキレス腱炎はプロバレエダンサー、バレエ学校生徒双方に発症する確立の高いバレエ障害であることが判りました。

このアキレス腱炎は、その患部周辺にまで炎症をおこすアキレス腱周辺炎、さらに滑液包炎までを発症させ、障害の発症タイプが多岐に及んでいます。アキレス腱炎の治療の多くは、休養を取ることと整形外科医により指示されます。問題は、多くの場合、完治するまで休養せず、痛みが薄れたところでバレエのレッスンを再開し、慢性化してしまうケースがあることです。

アキレス腱炎とは


アキレス腱とは、ふくらはぎにある下腿三頭筋(かたいさんとうきん)と骨とをつなぐ腱です。下肢のバランス維持で重要な働きをしています。さらに、クラシックバレエの場合、かかとを引き上げるルルベ、あるいはポアントのエシャッペで誤ってその主導筋として使われてバレエ障害を発症します。このようにバレエテクニックの間違いが原因として発症する代表的な障害がアキレス腱の炎症です。

このアキレス腱の炎症が、さらに周辺部の軟組織にも炎症を引き起こします。また、骨と腱との接続部にある滑液包にも炎症を発症させます。バレエを学ぶ小学生から、中学、高校生、成人にまで発症するバレエ障害です。

バレエのレッスン回数が増えたためにアキレス腱の過労が重なり、発症するケースもが多いです。特に、近年では発表会、コンクール出場のレッスン回数とレッスン時間の増加で発症する症例が多く、その治療法はレッスンを休んで傷めた腱組織の蘇生を待つしかありません。

鍼、マッサージなどの治療を施すケースも多いですが、物理療法を除き、決定的な治療法はこれまでありませんでした。鍼を刺して痛みが薄れても、鍼灸院から帰宅の途中で痛みがぶり返すなどのケースも多く、慢性化したアキレス腱炎を抱えている中・高生のバレエ学校生徒が多いです。



血液循環療法とBFRリハビリ


このアキレス腱炎症に高い治癒効果が確認されたのが、BFRトレーニングベルトを巻いて行われる運動処方です。急性期のアキレス腱炎と慢性化したアキレス腱周辺炎に苦しんだバレエ学校生徒と成人ダンサーの治療にBFRリハビリによる治療を試みました。その結果、わずか1回の処方で、痛みは10分の1に減少し、その後、痛みは自然治癒したのです。

このようにアキレス腱炎に1,2回の治療回数で即効の鎮痛効果が確認された治療事例は少なく、BFRリハビリはアキレス腱をはじめとする腱炎と腱周辺炎の鎮痛療法として高い効が期待されます。

BFRリハビリは患部にメスを入れる必要がありません。アキレス腱断裂の高校生バスケット部員の治療などスポーツ障害治療でも高い効果を上げています。そこで、これらのスポーツ障害の豊富な治療経験を基に、バレエダンサーのアキレス腱炎治療にも高い効果を上げているのです。

「里見悦郎のバレエ障害講座:BFRトレーニングを用いたバレエ障害治療」より

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