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10代の若いダンサーのバレエ障害発生について男女性差

10代の若いダンサーのバレエ障害発生について男女性差

2023/07/07

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10代の若いダンサーのバレエ障害発生について男女性差

最近、日本でも男子がクラシックバレエを学ぶことが増えてきました。しかし、海外でも、男子に比べて女子の方が圧倒的にバレエを学ぶ人口は多いです。そのため、バレエ人口の増加につれ、バレエによる障害を抱える少年・少女も増えることは当然ですが、10代の若いダンサーのバレエ障害発生について男女性差、すなわち、生理的メカニズム、骨格上の構造の違いを考慮に入れて検討しないとなりません。

海外でもクラシックバレエの障害を治療する専門医は数えるほどしかおりません。

そのため、まだ、10代の少年・少女のバレエ障害発生メカニズムとその治療法は、研究の途上にあります。

特に、バレエ人口が多い女子のバレエ障害は、緊急を要する問題です。かって、日本では欧米と比べてバレエ団が少なかったために、幼稚園・小学校から始めたバレエを15歳以上の高校生になっても続けるケースは少なかったのです。しかし、この10年、バレエ人口が急速に増加し、バレエ高校、大学バレエ学科が各地に設立され、さらに、コンクールも増加しました。特に、テクニックの未熟な小学生・中学生でも参加できるプレコンクールも各地で開催されるようになり、これらのコンクール・プレコンクール参加を目指し、小学生の頃からバレエの稽古を大変急ぐ傾向が見受けられます。

日本では9歳未満でトゥシューズを履くケースも多く見られ、12歳から15歳までの中学生の時期にグラン・パ・ド・ドゥの女性バリエーションに挑戦する傾向があります。少女の身体、骨格が完成するのが17歳過ぎです。20歳を越した成人のプロのバレエダンサーが完全に体得したバレエテクニックを駆使して踊るために振付けられたバリエーションを、身体が未完成の15歳に満たない中学生・高校生が踊ることは医学上多いに問題があるのです。

このように欧米と異なり、日本では10代始めからコンクール参加の傾向が高まります。10代の少女の身体の特徴とバレエ障害発生の危険性の高い骨格をもった子供を事前に調べ、障害の発生を未然に防ぐことがバレエ教師の大切な使命でもあるのです。

バレエ障害発生の危険性の高い子供

女性は男性に比べ、一般的に筋力は劣りますが、柔軟性があることが特徴です。

クラシックバレエは、この柔軟性が求められ、それが有利に働くこともあります。しかし、柔軟性があるが故に、生じてくる障害があるのです。

関節には、関節を動かす「可動性」と、関節を支える「支持性」の2つの大切な働きがあります。関節が柔らかすぎて、支持性が弱くなるために起こってくるバレエ障害があります。この関節が柔らかすぎる関節弛緩性(かんせつしかんせい)は、日常生活では支障がありませんが、バレエを踊る際には問題となるのです。

特に、関節弛緩性が高い生徒は膝関節に支障が出ることがバレエの特徴です。

このほか、肩関節にも支障が出ることがあり、それはフラメンコ、モダンダンス、コンテンポラリーダンスに多い障害となります。肩の場合では、肩関節が外れ易く(亜脱臼)となるルーズショルダーの障害が女子に多く発生します。クラシックバレエでも、この障害を起こすケースも少数ですがあります。

クラシックバレエでは、膝関節が伸びすぎるために、膝を痛めるケースが多いのです。特に、女子はトゥシューズを履いて、「つま先立ち」する時、つま先から、膝、太ももまでを真っ直ぐに伸ばし、体重を引き上げる必要があります。この過程で、生体力学的に多くの負荷が緩くなる膝関節に負担を与え、膝関節周辺の筋肉に数々の炎症を引き起こし、靭帯の裂傷、さらに成長痛の発症を引き起こすなど、軽度な障害から重度なバレエ障害までを発症させるケースが多いのです。

このため、この関節弛緩性の高さをバレエ教師は見定める必要があります。この関節弛緩性は膝関節ばかりでなく、全身の関節に渡って弛緩性の高い「全身関節弛緩性」のケースもあり、このような生徒はさらにバレエ障害を発症させる危険性も高いのです。

この「関節弛緩性」のテストには次の方法があります。

  1. 手関節を曲げて、親指が腕の手首につくことができる。

  2. 立ったまま、前屈をして、手のひらが床につく。

  3. 片腕を肩越しに下ろし、もう一方の片手を背中から伸ばし、両手同士が背中でつかめる。

  4. 伸ばした腕の肘関節が15度以上、深く肘側に曲がる。

  5. 伸ばした脚の膝関節が180度以上、外側に曲がる。

  6. 足関節が45度以上深くプリエできる。

これらの7チェック項目上、4項目が該当する場合、関節弛緩性の極めて高い骨格構造をしており、膝関節にバレエ障害の発症する可能性が高いといえます。このような関節弛緩性の極めて高い生徒を、バレエ障害から守るには、関節の支持性を筋肉で補う必要があるのです。

関節の支持性の強化とBFRリハビリによる治療

関節の可動域が高いが故に、バレエ障害の発症の可能性の高い生徒は、特に、膝関節を支える大腿四頭筋、脚の裏側の内側・外側ハムストリングを強化する必要があります。脚の大腿四頭筋は、下肢の中でも最も大きな筋肉であるため、筋肉の強化トレーニングにより、大きく発達し、バレエダンサーの細くて長い脚の形を、太く、「歪めて」しまう危険性があるのです。このため、4つの筋肉からなる大腿四頭筋の内、膝関節を真っ直ぐに伸ばすと共に脚を折る屈伸の主導筋となる大腿直筋とその真下の中間広筋のみを上手に強化する必要があります。この大腿四頭筋のような多頭筋の中から必要な筋肉を選んで強化するのは通常のリハビリでは、大変難しい指導となるのです。

BFRトレーニングベルトを巻いて行うリハビリでは、BFRをすることで筋肉は通常の3倍のスピードで古い筋繊維が新しい筋繊維に生まれ変わります。そこで、多頭筋の内、1つの筋肉を選び、その強化を短時間に行うことが可能なのです。

BFRトレーニングはバレエダンサーの美しい身体のラインを崩すことなく、必要な筋肉を強化できるバレエに適したリハビリを可能としてくれるのです。

「里見悦郎のバレエ障害講座:BFRトレーニングを用いたバレエ障害治療」より

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