小学4年生を過ぎると子どもは成長期に入ります。身長が急速に伸び始める年齢です。思考力も高まるこの9~10歳の年齢から、体育・スポーツの授業も運動量が多くなります。さらに、中学校では運動部の活動も本格的に始まります。この10歳を前後して、クラシックバレエでは女子はトゥシューズのレッスンを開始するなど、バレエのレッスンでも大きな変化を迎えます。すなわち、本格的なバレエのレッスンへ移行する時期です。この9歳から14歳ぐらいの年齢でバレエを学ぶ子どもたちの間に、身体に痛みをうったえる子供が多くなる傾向があります。身長が伸びたから、体重が増えたからと言って、バレエのレッスンを急に変えることは身体にとって大きな負担となります。特に小学生の身体は、同じ年齢の子どもでも、早生まれと遅生まれの子どもでは、発育・発達の差異が生じるため問題です。特に、人間の身体の中で完成が一番遅い手と足の甲の部分の関節は10歳前後では未完成であるため、問題が発生する場合があります。9歳になり、小学校高学年になったからと言って、高学年のバレエクラスに移り、12歳の子どもたちと同じレッスン内容をこなすことは注意が必要です。子どもたちの身体の成長の個人差を良く見極め、レッスン内容と組み立て、アンシェヌマンの組み方を教師は慎重に考える必要があります。9歳の生徒に、12歳の生徒と同じ回数のグランジャンプを練習させることなどは気を付けて指導しなければならないのです。「里見悦郎のバレエ障害講座:BFRトレーニングを用いたバレエ障害治療」より