コラム

子どものバレエのケガ


  • BFRトレーニング
  • 筆者:里見 悦郎
クラシックバレエの整形外科的な問題としては、バレエのゲガには「バレエ外傷」と「バレエ障害」の発生があることです。

例えば、大きなジャンプをして着地したダンサーが、バランスを崩して、パートナーの女性と衝突して、相手のバレリーナを傷つけてしまった場合のように外から大きな力が加わる骨折、脱臼、筋肉や靭帯の断裂が生じるバレエ外傷と、ジャンプで足先を打ちつける動作を何度も練習し、床に繰り返し着地するように、繰り返し骨や筋肉、靭帯、関節軟骨などに外力が加わって生じるバレエ障害があります。この2つを合わせて「バレエ傷害」と言います。

この傷害が起こる背景には、外から大きな力が加わる以外に生まれつき傷害が起き易い骨や筋肉であると言う遺伝的な理由が関係している場合があります。また、とっさの時に傷害を避ける敏捷さやバランス感覚を持ち合わせていないと言った神経が関与する場合、筋・骨格が左右バランス良く発達していること、あるいは柔軟性の有る無しが係わる場合もあります。
このように先天的な様々な条件が係わって発生する特徴が、子どものバレエの怪我です

子どものバレエ傷害の特徴


子どものバレエによる傷害は、発育期にある子どもたちに集中して起こるといった特徴があります。成長期においては、成長のもとになる外力に対して、弱い部分(骨端線と言う)が存在するために、この時期に特有の傷害を来たします。いわゆる使いすぎ症候群(オーバーレッスン、連日深夜までの稽古)、誤った訓練、不適切な施設(床、室温)や道具(リノリュウム、バーの高さ)や足に合わない小さいバレエシューズ、トゥシューズを使用することから障害が発生するのです。

 日本のバレエのレッスンで、注意をしないとならないことは、特に、床などの施設がバレエ専用のスタジオではない施設で、バレエが教えられているケースが多いことです。例えば、体育館を利用してバレエ教室が開かれている時、その床はスポーツの専用の床になります。このスポーツも種目によって床の特性が変わります。バスケットボールは早く走れて、さらに、ボールをドリブルでコントロールし、左右の相手選手の間を縫って走るため、床は滑ることのない、ブレーキの効きやすい方向転換し易い床となります。一方、バレーボールは、スライディングレシーブなど身体を床に滑らせるために、床はとても滑り易く張られています。

このため同じ体育館の床でも、それを利用してバレエレッスンを繰り返している場合、すべりの悪い床では、足首、膝、股関節の障害が発生するなど、それ特有の傷害が発生してきます。一方、良くすべる床では、滑って転倒したり、ジャン
プで転倒するなどの傷害が発生します。

さらに、滑って転倒した経験のある子どもは力いっぱいジャンプをすることが怖くなり、大きなジャンプが苦手な踊り手となることがあります。

また、室温が高いスタジオでは、発汗が多くなり、タイツが濡れ、バレエシューズ、トゥシューズの裏が滑りやすく、転倒の危険性が高まります。5番ポジションにしても、足裏が滑ってしまい、ポジションを保ち、堪えることができず、無理な力を足腰に入れ、バレエ姿勢を保つため、常に、足腰に力が篭り、それゆえに、関節に無駄な力が係り、姿勢をリラックスできなくなります。このため、すばやい踊りや大きく動くことが苦手な生徒が生まれることがあります。


子どもの傷害の問題点


このように施設が原因で、関節軟骨や骨端線に損傷を起こすことが子どものバレエ傷害には非常に多いのです。特に、この関節軟骨と骨端にいったん障害が起きてしまうと後遺症を残し易い性質があるために、子どもたちの怪我には、注意をしないとなりません。子どものバレエ傷害を未然に防ぐには、子どもたちのちょっとした訴え(特に、痛みの訴え)を見逃さず、バレエの稽古を続けることです。子ども、親、バレエ教師の連携によって子どもたちの怪我を未然に防ぐ努力が必要なのです。

BFRリハビリは靭帯、腱などの軟組織の治癒にも高い効果があり、中学生・高校生のバレエ傷害の治療にも大いに期待されています。

「里見悦郎のバレエ障害講座:BFRトレーニングを用いたバレエ障害治療」より

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