Part 1ではタンパク質の構造について解説しました。タンパク質の四次構造ができるときに体液が酸性に傾いていたり、重金属が存在したりするとうまくいかないということで、体液が酸性に傾くのを阻止するためにビタミンB群や重曹が有効だという内容です。今回は重金属を排除する栄養素について紹介しましょう。カラダにとって有害な作用を持つ重金属としては水銀や鉛、ヒ素、カドミウムなどが知られており、「公害」を引き起こして多くの人の健康を奪いました。今でも「メチル水銀」の問題があります。海水に含まれる無機水銀はプランクトンのメチルコバラミンによってメチル水銀となります。そして食物連鎖によって濃縮され、マグロやカジキなど大型の魚類や鯨類に濃縮・蓄積されます。メチル水銀は脂溶性であり、システインと複合体を形成して血液脳関門を通過し、脳に蓄積されます。この害を防ぐためには、まず「キレート」によって体外に排出するという方法があります。これを行ってくれるのが玄米や大豆食品に含まれる「フィチン酸」です。大豆プロテインでも構いません。ただしフィチン酸はカルシウムや鉄などの有益なミネラルも排出してしまいます。さらにミネラルの「セレニウム」に、メチル水銀の毒性を防ぐ作用があることが知られています。セレニウムには癌や心臓血管系疾患の害を防いだり、認知機能の低下を防いだりする作用が期待できます。(※1, ※2, ※3, ※4, ※5)そして「メタロチオネイン」という解毒作用・抗酸化作用のある金属タンパク質の働きを高める必要があります。これは亜鉛からつくられますので、亜鉛をしっかり補給しておくことが必要です。またメチル水銀は腸内細菌や食細胞(マクロファージや好中球)によって分解され、無機水銀となって便や尿から排泄されます。腸内細菌の状態や免疫機能を維持しておくことも大事です。免疫のためにグルタミンを普段から摂取しておくことも良いでしょう。※1:Selenium for preventing cancer. Cochrane Database Syst Rev 2011:CD005195.※2:Systematic review: primary and secondary prevention of gastrointestinal cancers with antioxidant supplements. Aliment Pharmacol Ther 2008;28:689-703.※3:Selenium supplementation, baseline plasma selenium status and incidence of prostate cancer: an analysis of the complete treatment period of the Nutritional Prevention of Cancer Trial. BJU Int 2003;91:608-12※4:Selenium and coronary heart disease: a meta-analysis. Am J Clin Nutr 2006;84:762-73.※5:French adults' cognitive performance after daily supplementation with antioxidant vitamins and minerals at nutritional doses: a post hoc analysis of the Supplementation in Vitamins and Mineral Antioxidants (SU.VI.MAX) trial. Am J Clin Nutr 2011;94:892-9.