コラム

RIZAPの前期決算赤字に学ぶ。次の一手は「気軽な運動」


  • ビジネス
  • 筆者:斉木 英人
スポーツビジネスの中でここ数年注目を集め、オピニオンリーダーでもあったRIZAPグループの2019年3月期の連結決算が193億の赤字で報告された。グループ内の不採算事業であるCD.ゲーム販売会社を撤退させるために特別損失を出したのがその大きな理由というが・・・
前年度は辛うじて90億の黒字であったRIZAPの経営。そうは言っても、市場の動向、ニーズの変化など、本業であるジム経営のマーケティングの次の一手が気になるところだ。
RIZAP社長の瀬戸氏。ライザップの決算からトレンドを読むと?

RIZAP社長の瀬戸氏。ライザップの決算からトレンドを読むと?

赤字転落したRIZAPは、「ジム事業をみつめなおし、グループトレーニングの店舗を積極的に展開し、顧客を気軽に運動したい層までひろげることを目指す」と、早々に次期への舵を取る。鍵になっているのは「セミオーダー型のサービス」で築く、収益の安定基盤。

これまでRIZAPの個人向けジムのビジネスは売上高413億。13万人を超える会員の在籍期間は長期化傾向にあるという。とは言いながら。17年末から女性向けの暗闇フィットネスなどを取り入れたエクスバやリブティなどダイエット用のヨガスタジオではトレーナーひとりに最大20人の利用者を同時に担当する。シニア向けのサーキットトレーニング「SOUGYM」も最大8人の利用者にトレーナーがひとり。という成果に対してギリギリのグループレッスンの大きさは足かせになってはいなかっただろうか?
消費者の健康志向は高まり、フィットネス市場は拡大を続けている。その中で現状のRIZAPの苦戦は、多人数のグループレッスンでライトユーザーを増やしたことによる、顧客の熱意の低下招いた悲劇。顧客に寄り添いプログラムを「やりきらせる」という同社の手法の強みが生かせなくなってしまったということにすぎない。

RIZAPの今季は「セミオーダーで寄り添う」というサービス設計を目指すという。よりシンプルに、手軽にできる筋力体操がシルバー世代を中心に流行の兆しを見せているが、RIZAPの「気軽な運動」も、同様にトレンドを踏んでいるように思える。
自らのビジネスに取り入れることができることは、大いにありそうだ。積極的にトライ&チャレンジしてみようではないか。

Page Topへ