筋肉が増えるということは、筋タンパクが合成されるということです。ここで、タンパク質が合成される流れを追ってみましょう。トレーニングなどの刺激を受けると、DNAに「タンパク質を合成せよ」という指令が伝わります。しかし筋肉の材料となるアミノ酸は細胞の核外にあります。そのため、DNAの情報を書き写して核外に持ち出す必要があります。このとき働くのがメッセンジャーRNA(mRNA)です。発達せよというメッセージを受け取ったDNAの情報はmRNAに転写されて核外に運び出されます。そしてmRNAはリボゾームの「粗面小胞体」にたどり着きます。ここにはアミノ酸を一つずつ抱えた運び屋がいます。これをトランスファーRNA(tRNA)と呼びます。mRNAの情報を受けてリボゾームにメチオニンの暗号部がくっつくとメチオニンを抱えたtRNAがやってきて、メチオニンを置いていきます。次に「バリン」の暗号部がリボゾームにくっついたとします。するとバリンを抱えたtRNAがやってきて、メチオニンの隣にバリンを置いていきます。このようにして、メチオニンとバリンが繋がっていくわけです。そしてペプチドができていきます。こうしてつくられる最初のアミノ酸配列を、「タンパク質の一次構造」と呼びます。イメージとしては、アミノ酸が一直線に鎖のように並んでいる状態です。なおこれは「ペプチド結合」です。そして鎖の途中で、ところどころにアミノ酸どうしに引力が働きます。すると鎖はからみあった糸のようになり、水素結合やイオン結合などによって、らせん状のαへリックス、板状のβシートと呼ばれる構造ができます。これが「タンパク質の二次構造」です。そしてさらにアミノ酸どうしはイオン結合や疎水性相互作用、ジスルフィド結合などの作用によって、互いに引き合います。こうして全体的なアミノ酸の鎖が糸鞠のようになったものを、「タンパク質の三次構造」と呼びます。三次構造は「サブユニット」とも呼びます。この三次構造のタンパク質がいくつか結合すると、それが「タンパク質の四次構造」となります。この四次構造がつくられるときがポイントとなります。ここで体液が酸性に傾いていたり、重金属が存在していたりすると、四次構造がうまく作られません。トレーニングによって乳酸やピルビン酸などの「酸」が発生すると、体液は酸性に傾きます。これを放置しておくと、タンパク質合成が上手くいかなくなってしまいます。ビタミンB群や重曹、クエン酸などに、酸性に傾いてしまうのを防ぐ働きがあります。トレーニング後はこれらを摂取することにより、速やかに乳酸を除去するように栄養条件を整えたいところです。重曹やクエン酸を配合した「クレアpI」にはpHを整えてクレアチンの吸収を高めるだけでなく、このような効果もあるのです。