活性酸素が発生すると、なにがマズイのか。もっとも問題となりやすいのが、「過酸化脂質の発生」である。古い油を使って揚げ物をすると、イヤな臭いがする。古い油は茶色くてドロドロした感じになるが、これが過酸化脂質である。これは名前の通り、脂質が酸化されたものだ。老人の肌には茶褐色のシミができている。これを「リポフスチン」と呼ぶが、これも過酸化脂質の一種だ。ある調査によれば、リポフスチンは10歳くらいになると既に心臓にできているといわれる。アジの干物やシラス干し、冷凍マグロ、かりんとう、ポテトチップスやインスタントラーメンなどは、過酸化脂質の塊であると言っていい。これらは確かに美味しいものもあるのだが、食事として一気に体内に採り入れるのは考えものであろう。また、食事からではなく、体内でも過酸化脂質の発生は自然に起こる。コレステロールや中性脂肪が活性酸素によって酸化されることにより、過酸化脂質が発生してしまう。そしてさらに問題となるのが、細胞膜だ。私たちの細胞の周りには、細胞膜がある。これは必要なものを細胞内に取り入れ、必要でないものが細胞内に入らないようにしている。細胞膜の主成分は「リン脂質」だ。しかしリン脂質に活性酸素が働くと、「脂肪酸ラジカル」が発生してしまう。この反応が継続すると「ラジカル連鎖反応」となり、大量の活性酸素が発生する。そして細胞膜がダメになり、穴が空いてしまう。細胞膜に穴が空くと、本来は細胞内に入れてはいけないものが流入してしまう。すると細胞の機能がダメになったり、細胞が死んだりしてしまうのだ。では、どうすれば過酸化脂質の発生を防ぐことができるのか。先鋒となって活躍するのが、ビタミンEである。脂溶性ビタミンであるビタミンEは、やはり脂質部分である細胞膜において活性酸素の除去に役立ってくれるのだ。ビタミンEが活性酸素と反応すると、ビタミンEラジカルになる。これはそれほど悪いものではない。またビタミンEラジカルは、ビタミンCやCoQ10によって還元され、またビタミンEに戻ることができる。ビタミンEはナッツ類などに含まれるが、食事からの摂取量ではとうてい足りない。普通に食事から摂取できる量は一日にせいぜい10IU程度だが、過酸化脂質の発生を抑え、活性酸素の害を防ぐためには、サプリメントとして一日にできれば400IU程度を摂取するようにしたい。また脂溶性なので、脂肪の含まれる食事と一緒に摂取することで吸収を高めることができる。空腹時よりは、食後に摂取するようにしよう。