コラム

疲れをとる栄養は? Part 18 ─ ホスファチジルセリン


  • サプリメント
  • 筆者:山本 義徳
疲労の正体は未だに不明なのですが、肉体的な疲労と精神的な疲労に分けた場合、精神的な疲労のほうが長続きしてしまうようです。これは神経伝達物質の枯渇が関係しています。

神経は太さによって分類することができ、大きくA繊維とB繊維、C繊維に分けられます。A繊維は運動繊維や皮膚の触覚、痛覚、温度などを感知するもので、B繊維は自立神経です。C繊維はA繊維やB繊維よりも細く、これも皮膚の痛覚や自律神経となっています。

神経の周りには信号の漏れを防ぐために絶縁体があるのですが、A繊維とB繊維には絶縁体に「くびれ」があります。これをランビエの絞輪と呼びます。A繊維とB繊維はこの「くびれ」部分を跳び跳びに信号が伝わっていくため(跳躍伝導)、伝達速度がとても速くなります。
しかしC繊維はくびれがないため、伝達速度は遅くなります。

さて、こうしてある神経から別の神経、あるいは神経から筋繊維に情報が伝わるとき、神経伝達物質が使われます。神経末端には「シナプス小胞」と呼ばれる神経伝達物質を入れた袋があり、そこに電気的な刺激(活動電位)が与えられると袋が破れ、神経伝達物質が放出されます。
放出された神経伝達物質が別の神経あるいは筋繊維に到達すると、活動電位が発生します。この繰り返しで電気刺激が各神経間を伝わっていくのです。

神経伝達物質が枯渇すると精神的な疲労が発生すると思われます。神経伝達物質は主にアミノ酸を材料とし、ビタミンを補酵素としてつくられます。アミノ酸のチロシンやトリプトファン、ビタミンCやビタミンB群、レシチンなどの重要性について、これまでに何度か紹介してきました。

今回は「ホスファチジルセリン」を紹介しましょう。ホスファチジルセリンといえばコルチゾルブロック作用が有名ですが、じつは記憶改善効果が示されており(※1)、アセチルコリンの活性を高めることが知られています。(※2)
ホスファチジルセリンを400mg摂取することで脳の機能が高まり、計算速度なども高まっています。(※3)
200mgの摂取でも記憶の改善やADHDの治療に役立つようです。(※4)

サプリメントとして使うにはやや高価なのですが、筆者がボディビルダーにコルチゾル対策として推奨したところ、多くの方から「頭がスッキリ冴える」という報告をもらいました。意外に即効性があるようであり、精神的疲労の軽減・回復にも大いに有用だと思われます。
まずは起床直後に200mgからはじめてみてはどうでしょうか。

※1:
"Brain-specific" nutrients: a memory cure?
Nutrition. 2003 Nov-Dec;19(11-12):957-75.

※2:
Phosphatidylserine increases acetylcholine release from cortical slices in aged rats.
Neurobiol Aging. 1985 Winter;6(4):337-9.

※3:
The effects of IQPLUS Focus on cognitive function, mood and endocrine response before and following acute exercise.
J Int Soc Sports Nutr. 2011 Oct 21;8:16. doi: 10.1186/1550-2783-8-16.

※4:
The effect of phosphatidylserine administration on memory and symptoms of attention-deficit hyperactivity disorder: a randomised, double-blind, placebo-controlled clinical trial.
J Hum Nutr Diet. 2014 Apr;27 Suppl 2:284-91. doi: 10.1111/jhn.12090. Epub 2013 Mar 17.

Page Topへ