BFRトレーニングは血流制限を行うことによって、無酸素運動を外因的に行わせ、速筋繊維を優位に働かせることができます。最大張力のことをピークトルク(PT)と呼びますが、力がほとんど入っていない状態からピークトルクまでに至るまでの速度のことを張力発揮速度(rate of torque development : RTD)と呼びます。スポーツ競技では、「静から動」への動きが必要とされることが多く、RTDの向上はパフォーマンス向上につながるということが言えます。そして面白いことに、BFRトレーニングによってRTDが向上したという報告が出てきました。平均年齢22.8歳の男性を対象に、20%1RMでレッグエクステンションを限界まで4セット行わせました。100mmHgでのBFR群と、BFRを行わない群とに分けます。頻度はかなり高く、19日間の間に23回のトレーニングセッションを行いました。その結果、BFR群においてトレーニング終了12日後におけるRTDが15~20%も上昇していたのです。(※)ただしさすがにこれだけ高頻度だと疲労もあったようで、トレーニング終了5日後の時点ではRTDの変化はありませんでした。なお筋肥大効果もBFR群は長く維持され、非BFR群はトレーニング終了後に速やかに元のレベルに戻りましたが、BFR群は肥大量がトレーニング終了後も長くキープされています。試合前などはウェイトトレーニングの量を徐々に減らしていく「テーパリング」が一般的に行われますが、試合の2週間くらい前までBFRをハードに行い、その後は普通のトレーニングを軽めに行うだけといった流れでのプロトコルが今度は行われるようになるかもしれません。※Delayed Effect of Blood-Flow-Restricted Resistance Training on Rapid Force Capacity.Med Sci Sports Exerc. 2017 Jan 23. doi: 10.1249/MSS.0000000000001208