コラム

低酸素プレコンディショニング(IPC)がパフォーマンスを改善する


  • BFRトレーニング
  • 筆者:山本 義徳
低酸素プレコンディショニングを行うことで、虚血再灌流で発生する活性酸素を除去する能力を高めることができる。そして近年、それをパフォーマンス向上に役立てようとする動きが出てきた。
低酸素プレコンディショニング

低酸素プレコンディショニング

BFRトレーニングの安全性の根拠の一つとなっているのが、低酸素プレコンディショニング(IPC)だ。これは心臓外科手術の際に起こる虚血再灌流障害における活性酸素の害を防ぐために行われるテクニックであり、代表的なプロトコルとしては手術に先立って四肢を200mmHg前後で圧迫して低酸素状態とし、それを5分間*4セット行うというものである。

低酸素プレコンディショニングを行うことで、虚血再灌流で発生する活性酸素を除去する能力を高めることができる。そして近年、それをパフォーマンス向上に役立てようとする動きが出てきた。

15名のサイクリストを対象に、下肢を220mmHgで圧迫し、それを5分間*4セット(インターバルは5分)行った。その後に60秒スプリントのパフォーマンスを計測したところ、筋活動の上昇が見られ、コントロール群と比較して2.1%の向上が見られた。総酸素借や血中乳酸応答、回復時に消費される酸素量なども増加していた。(※1)

IPCを行うことにより、一時的に血流が増加し、酸素や栄養素の運搬がスムーズになるため、パフォーマンスが改善される可能性がある。

5分*3セットのIPCを行った研究では最大酸素摂取量が56.8ml/min/kgから58.4ml/min/kgに増加し、最大パワー出力は366Wから372Wに増加した。(※2)

1985年から2015年までの間に行われたIPCのパフォーマンス向上作用について調べた21本の文献を調査したところ、副作用は見つからず、特にタイムトライアルにおける改善効果が際立っていた。(※3)

オフシーズンや練習時にBFRトレーニングを行って筋力・筋肥大を狙うだけでなく、試合のときは事前のIPCによって試合におけるパフォーマンス向上を狙うということも、今後は行われるようになるかもしれない。
アスリートをクライアントに持つトレーナーの方は、ぜひ参考にして欲しい。


※1:
Effects of ischemic preconditioning on short-duration cycling performance.
Appl Physiol Nutr Metab. 2016 Aug;41(8):825-831. Epub 2016 Mar 30.

※2:
Ischemic preconditioning improves maximal performance in humans.
Eur J Appl Physiol. 2010 Jan;108(1):141-6. doi: 10.1007/s00421-009-1195-2. Epub 2009 Sep 18.

※3:
The Effects of Ischemic Preconditioning on Human Exercise Performance.
Sports Med. 2016 Apr;46(4):531-44. doi: 10.1007/s40279-015-0433-5.

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